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甲賀の山の神祭り(土山町青土)
甲賀の山の神祭り(土山町青土)

甲賀地域を代表する年頭行事として、オコナイとともに広く伝承されている民俗行事に山の神祭りがあります。この行事は、「山の神」あるいは「山の口」などと呼ばれ、正月の三日、五日、七日、あるいは九日の早朝を中心に行われてきたもので、現在では三日の朝に行うところが多いようです。

祭りの場所は、多くは村の山の口つまり「山の口」で、複数ある場合もすくなくありません。樫などの木や岩、あるいは「山之神」などと刻んだ碑石を目印とし、そこにジャなどと呼ぶ大きな藁綱を張り渡し、オッタイ・メッタイなどと呼ぶ雌雄一対の股木の人形を飾り、竹で編んだ膳の上に、カツオ・イワシ・ブリ・イセエビ・ホンダワラなどの海産物、クリ・カヤ・干し柿・ミカンなどの果物、そして大小様々な形の餅がトウヤと呼ばれる当番によって準備され献じられます。

祭場に大きなたき火を焚いて準備が整う頃には、村人(男性に限る)が手に手に藁苞(わらづと)やこれをくくりつけた股の付いた木の枝を持って集まってきます。まず股木人形に餅や米など進ぜて拝礼し、トウヤが手にした御幣などを振ります。祭りの進め方は土地によって様々ですが、張り渡した藁綱に股のついた枝を引っかけ、五穀の豊穣を祈る囃子ことばを唱えて勢いよく揺すり、藁綱をばらばらにしてしまうところが多く見られ、これをカギヒキと呼びます。

これら一連の流れは山の神の顕現をあらわすものでしょう。また雌雄の股木人形を交合させ子孫の繁栄を祈る地域も見られ、祭り全体に見られる性的な色彩や女性の参与を厳しく拒絶する秘儀的な側面は、古い民俗信仰の痕跡を伝えるものと見る考えもあります。

甲賀だけでなく近江の山の神祭りに通じることですが、ここでいう「山の神」は狩猟や山仕事を生業とする人々が祀る文字通りの「山の神」ではなく、田を潤す用水を涵養し、田に入れる緑肥や柴や薪を採集する「里山」の利用とともに伝承されてきた、農作を守る神であることが分かります。

『甲賀市史』第6巻には代表的な行事が詳しく紹介されています。ご覧下さい。

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