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 議案第5号平成29年度甲賀市一般会計予算から議案第15号平成29年度甲賀市下水道事業会計予算までを一括してご説明申し上げます。

 平成29年度当初予算は、私が市長に就任をさせていただき初めての年間を通した予算の編成となります。

 編成にあっては、若手職員にも積極的に参加していただいた中で、部局単位でのミーティングを実施いたしました。市政を進める上での私の基本的な考え方を伝え、職員からは意見やアイディアが出されるなど、多くの議論を交わすことができました。

 平成29年度は第1次甲賀市総合計画に示す市の将来像の実現をめざして取り組みを進めてきた成果を礎に、新たな第一歩を踏み出す重要な年であります。

 次代を担う子どもたちや高齢の皆さま方がともに豊かに暮らせるまちを築くため、子育て・教育、地元経済の活性化、福祉・介護の充実など施策の重点化を図り、戦略的に推進することとしております。

 本議会に議案第31号で提案をいたします、平成28年度一般会計補正予算第7号において教育環境の充実をスピード感をもって進めるなど、一体で切れ目のない予算として編成いたしましたことから、平成29年度甲賀市一般会計当初予算は対前年度5.8%、24億1千万円減の390億円となっております。

 また、特別会計では対前年度比1.8%増の191億339万円、企業会計では対前年度比1.5%減の124億2,096万2千円となり、一般会計・特別会計・企業会計を合わせた11会計の予算総額は、対前年度比3.1%減の705億2,435万2千円となっております。

 それでは、議案第5号 平成29年度甲賀市一般会計予算につきまして、その概要をご説明申し上げます。

 まず、歳入の主なものについてでございます。

 1款・市税のうち、個人市民税は、給与所得者の所得が前年度の水準を若干上回る見込みでありますが、分離譲渡所得が減少傾向にあることなどから、前年当初と同額の43億1,400万円といたしました。

 

 また、法人市民税では、全体的に今後の生産動向が上向きとなる企業が多いと見込み、法人税割の一部国税化などの税制改正による減収を勘案して13億6,200万円とし、個人・法人合わせた市民税は、56億7,600万円を計上いたしました。

 次に、固定資産税でありますが、土地価格の下落による減収はあるものの、家屋や償却資産の増加を見込み、69億4,582万6千円を計上いたしました。
 
 また、軽自動車税では、平成29年度地方財政対策を参考に販売台数の緩やかな伸びを見込み、2億6,900万円といたしました。市たばこ税は、健康志向による販売本数の減少も見込まれることから前年を下回る6億6,800万円とし、市税全体では、対前年度比1.3%増の135億7,462万6千円を見込んでおります。

 2款・地方譲与税から10款・地方交付税は、平成28年度当初予算額と決算見込額を基に、総務省から示された地方財政対策や滋賀県及び本市の特性などを勘案し、慎重かつ積極的に見込んだものであります。
 
 また、11款・交通安全対策特別交付金は、平成28年度決算見込みから算出し、12款・分担金及び負担金、13款・使用料及び手数料は、それぞれの事業の分担金率、使用料及び手数料条例を根拠に積算いたしました。
 
 14款・国庫支出金、15款・県支出金では、事業実施に伴います国、県の負担金、補助金、委託金を計上しており、国庫支出金は1.4%の減、県支出金は1.2%の増となっております。

 16款・財産収入は、土地などの売払収入や貸付収入を、17款・寄附金では、甲賀市を応援したいという寄附者の熱い想いを、有効に活用させていただくことを固くお約束しながら、魅力ある地元産品や甲賀市らしさを全国の多くの皆様に発信する、ふるさと納税を力強く推進することにより、大幅アップの1億円を見込んでおります。

 18款・繰入金は他会計からの繰入金と財源調整のための財政調整基金の繰り入れのほか、福祉基金、教育振興基金、公共施設等整備基金などの特定目的基金から、それぞれの事業目的に合わせて繰り入れるものであり、21款・市債につきましては、地方交付税の振替えとしての臨時財政対策債14億9,000万円のほか、甲南駅周辺整備事業や道路橋りょう整備事業、合併特例債の発行期限を見据えた事業計画に応じた予定額を見積もった結果、庁舎改修整備事業の大幅な減額を含めて、対前年度比39.7%減の47億2,820万円を計上いたしました。
 
 なお、歳入予算額に占めます自主財源の割合は、前年度当初予算比で4.2ポイントアップの46.9%に、同じく一般財源の割合は4.0ポイントアップの66.8%になりました。

 続いて、歳出につきましては、予算書とは別にお示しをしております、資料に基づき主要なものにつきましてご説明申し上げます。

 現在策定を進めております、第2次総合計画は、その計画期間を12年間とし、前期にあたる4年間で、重点的に取り組む事業を「オール甲賀で未来につなぐチャレンジプロジェクト」と位置付け、推進してまいりたいと考えております。

 このプロジェクトの基本的な考えは、人口減少への対応であります。

 過日総務省が公表した、住民基本台帳に基づく2016年の人口移動報告によれば、滋賀県は人口流出が4年続いており、2016年は706人の転出超過とのことであります。転出超過した13市町のうち、本市は295人の転出超過と なっており、長浜市・高島市に次いで3番目の多さとなっています。

 この問題は、全国的な傾向ではありますが、地域によってその要因は異なっています。

 私は、全国的な傾向だから仕方がないことだと受け入れるという考えに立つのではなく、本市の課題を分析し、オール甲賀で、叡智を結集し、積極的に打って出ることが何よりも必要であると考えております。

 

 一見すると、若者や子育て世代だけに、スポットをあてた施策のように受けとられがちですが、この世代の皆さまの人口が増えることで、地域の活性化や、コミュニティの安定化が図れ、高齢者の皆さまも、安心して住み慣れた地域で生活していただけることにつながるものと確信をいたしております。

 この考えの上で、本市の課題を大きく次の3点に整理いたしました。

 一点目、子育て・教育環境の充実や女性の活躍に対する支援が不十分なことから、出生率の上昇につながっていないこと。

 二点目は、就きたい仕事と、企業求人とがマッチしていないことから、若年層の市内定住や移住が進んでいないこと。

 三点目は、地理的なことから医療や福祉、介護など老後への不安や、公共交通機関の利便性が充分でないため子どもの通学負担の重さなどから、子育て世代を中心に、広い層で流出が進んでいることであると考えており、先ずは、若者の流出を止め、人口減少に歯止めをかける取り組みに着手していきたいと考えております。

 その上で、最終的には合併当初の人口目標に掲げております、10万人都市実現を目指してまいります。

 その目標を達成するための共通のテーマとして

 一点目は、子どもたちがいきいきと健やかに育ち夢を追うことができる、子育て・教育の充実

 二点目は、域内消費の拡大や域外から稼ぐ仕組みをつくることでの地域経済の活性化

 三点目は、誰もが住み慣れた地域で暮らすことができる、介護・福祉の充実

 この三つの視点で、次にご説明申し上げます、10のプロジェクトを「プロジェクトテン」と称し、これらを基軸に重点事業に取り組んでまいたいと考えております。

 まず、生きる力・キャリア教育プロジェクトでは、

 ティームティーチングの導入や漢字・英語検定受験補助など、学力向上の取り組みに加え、3カ年計画で整備を進めるICT教育の充実に取り組みます。

 

 また、家庭の事情や様々な困難があっても、将来に夢を描き、追い続けることができるよう、子どもたちを支える居場所となる「学んでいコウカ」事業を3ヶ所週3日開催から4ヶ所週5日へ拡充するなど、子どもたちが健やかに、自分らしく生きる力を培うための施策を実施してまいります。

 次に、子育て世代応援プロジェクトでは

 保育園・幼稚園の保育料減免制度を拡充し、低所得の多子世帯における第2子保育料を、半額から無料化することと合わせ、従来小学3年生までを対象に実施しておりました、医療費自己負担の全額助成を6年生にまで拡大し、保育や子育てにかかる経済的負担の軽減を図ります。

 また、子育てコンシェルジュの窓口設置や子育てポータルサイト、地域ぐるみで応援するネットワークの運営などにより、子育て世代の多面的支援の充実に取り組んでまいります。

 7年目となる住宅リフォーム事業では、子育て支援と定住促進に重点を置くことで、地域経済の好循環を図るだけでなく人口減少対策としても実施してまいります。

 更に、4月にオープンいたします子育て世代包括支援センターにおきまして、妊娠期から出産・子育て期までの支援をシームレスに行ってまいります。

 次に、保育の質向上プロジェクトでは

 民間事業者に対し地域型保育事業所の設置に対する支援や、私立保育園に就職する方への就労一時金と家賃補助制度を整備し保育士確保を図るとともに、保育支援員の確保などにより、低年齢児保育や保育時間延長などのニーズに応え、保育の質の向上に取り組んでまいります。

 次に、シティーセールス推進プロジェクトでは

 私のトップセールスをはじめ、全職員がシティーセールスの視点を持ち、子育て・教育・福祉・観光施策など、本市の住みよさや魅力を戦略的に市内外にアピールすることで、選ばれるまちとなるよう積極的に展開し、定住移住や交流人口の増加を促進してまいります。

 また、ふるさと納税事業につきましては、寄付総額1億円を目標として、地場産業や観光産業などともリンクさせながら、より多くの方に本市を応援いただける制度となるよう、自主財源の確保と市内の特産物などのPRに取り組みます。

 次に、新産業特区プロジェクトでは

 地場産品の販路拡大により、地域の稼ぐ力を高めるとともに、地域経済の活性化に結びつく特区等の特別支援制度の創設に向けた検討を行ってまいります 。

 また、新たな工業団地の整備を図ることで、働く場を確保し、定住移住を促進してまいります。

 次に、女性、若者の活躍、定住プロジェクトでは

 女性の社会進出を支援し、活き活きと活躍できる社会を実現するため、スキルアップを目指す女性への資格取得支援などにより、雇用や登用への取り組みを推進します。

 また、若者の雇用拡大と企業の人材確保を促すためのJOBフェアの開催に加え、再就職を希望する女性を対象とした合同就職面接会も開催し、女性や若者の力を最大限発揮できるよう取り組んでまいります。

 次に、甲賀流観光振興プロジェクトでは

 甲賀流忍者を核に、紫香楽宮、水口岡山城などの資源をフルに活用し、従来のPRが中心の観光施策から、稼ぐ観光施策へと発展させることで、地域経済の好循環を図ってまいります。

 そのためにも、観光振興施策の企画、運営について、マーケティングによる分析を行い、効果的なプロモーションの発信や観光まちづくりの推進を担う日本版観光DMO組織の構築にむけた準備に着手してまいりたいと考えております。

 次に、空きキャパシィティー活用プロジェクトでは

 JR草津線の利便性の向上を図るうえでも重要な拠点である貴生川駅周辺の土地利用について、新たなひとの流れを創出できるよう、整備計画の検討を進めてまいります。

 また、市内空き家の約4割が適正管理されていない現状から、4月から施行する「空き家等の活用、適正管理等に関する条例」に基づき、所有者などへの指導助言などにより、適正管理を促進するとともに、良好な景観の形成に努めてまいります。

 約6割は利活用できる可能性がある空き家であることから、 空き家バンクの成約者の増加を図るなど“あるもの活かし”の取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 次に、中山間地域再生プロジェクトでは

 中山間地域が元気で活き活きと活気溢れる地域であり続けるため、地域とともに、民間事業者や自主運営組織などによる、地域再生に向けた取り組みを支援します。

 また、鉄軌道のない土山地域において、新名神高速道路を活用し、京都、大津方面への高校や大学などへの通学の利便性を向上するため、JR南草津駅へワンストップバスを実証運行し、若者層の定住促進につなげることで、中山間地域の活力再生を図ってまいります。

 最後に、地域世代まるごと包括ケアプロジェクトでは

 市民の皆さまや学識経験者などで構成する(仮称)自治振興委員会を設け、自治振興会と区・自治会の役割、あるいは地域市民センターのあり方など、地域がかかえる課題について検討し、住み慣れた地域で暮らし続けることができる仕組みづくりを構築してまいります。

 以上、平成29年度一般会計予算の主だった事業の概要について説明とさせていただきます。

 引き続きまして、各特別会計予算及び各企業会計予算につきまして、その概要をご説明申しあげます。

 まず、議案第6号「平成29年度甲賀市国民健康保険特別会計予算」につきましては、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ102億1,000万円とするものであります。

 医療の高度化や急速な高齢化の進展により医療費の増加が続くなか、国民健康保険は他の医療保険に比べ年齢構成が高く、所得水準が低いことから、厳しい財政運営を強いられております。

 歳入では、国・県支出金、前期高齢者交付金、共同事業交付金のほか、国保税軽減や福祉医療波及分などを含む一般会計繰入金等により、国保事業の適正かつ安定的な運営を図っております。

 歳出では、保険給付費や共同事業拠出金、また、データヘルス計画に基づき、疾病予防や健康づくりのための保健事業費を計上しております。

 次に、議案第7号「平成29年度甲賀市後期高齢者医療特別会計予算」につきましては、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ18億7,900万円とするものであります。

 75歳以上の被保険者で構成する後期高齢者医療制度については、加入者の増加や医療の高度化に伴い、医療費が大きく伸びてきております。すでに制度発足から10年が経過しようとしておりますが、高齢者の方に、より分かりやすい制度となるよう、運営主体である滋賀県後期高齢者医療広域連合と連携しながら、保険給付や保健事業などを実施し、高齢者の健康増進に努めてまいります。

 次に、議案8号「平成29年度甲賀市介護保険特別会計予算」につきましては、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ69億8,900万円とするものであります。

 平成29年度予算は、平成27年度から平成29年度までの当市の介護保険サービスに取り組む指針として策定した「第6期介護保険事業計画・高齢者福祉計画」の最終年であり、いよいよ本市において、新しい総合事業を開始してまいります。住み慣れた地域で、自立した日常生活を継続できるように支援するという介護保険の基本理念に基づき、「地域包括ケアシステム」の早期構築をめざし、予算を計上したものであります。

 次に、議案第9号「平成29年度甲賀市土地取得事業特別会計予算」につきましては、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ410万4千円とするもので、土地開発基金の運用益と管理にかかる経費を計上したものであります。

 次に、議案第10号「平成29年度野洲川基幹水利施設管理事業特別会計予算」につきましては、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ2,128万6千円とするもので、野洲川ダムと水口頭首工の施設管理に係る経費を計上いたしております。

 次に、議案第11号「平成29年度甲賀市病院事業会計予算」につきましては、山間へき地の地域医療機関として、高齢患者を中心とする回復期の医療を提供するほか、救急告示病院としての二次救急医療の役割を果たす国保直診病院事業の運営を行う会計であり、収益的収支の予定額を9億4,120万円、資本的収入の予定額を3,483万1千円、資本的支出の予定額を5,862万3千円とするものであります。

 運営に当たりましては、医療安全管理の徹底を図り、地域に密着した総合ケアを提供し、医療サービスの向上に努めるとともに、保健福祉の中核病院として地域住民の健康保持増進に貢献してまいります。

 また、地域医療のニーズに応えるために、訪問診療などによる在宅医療を推進し、病院新改革プランに基づいた経営改善、業務の効率化を図ってまいります。

 なお、医師確保につきましては、引き続き滋賀県や滋賀医科大学などに積極的な医師派遣の要請を行ってまいります。

 次に、議案第12号「平成29年度甲賀市水道事業会計予算」につきましては、収益的収入の予定額を30億5,849万8千円、収益的支出の予定額を28億1,220万9千円とするもので、施設の維持管理や県用水の受水費用のほか、アセットマネジメントの委託経費、有収率と収納率の向上に向けた業務委託に係る経費などを計上しております。

 また、資本的収入の予定額を5億3,006万円、資本的支出の予定額を10億5,596万9千円とするもので、安心安全で安定した水道水の供給を図るため、緊急性の有る老朽管路の布設替を行うとともに、水量不足や災害時に備え、配水区域を結ぶ連絡管の整備と浄水場の水源確保のための調査を実施いたします。

 なお、資本的収入が資本的支出に対し不足する額5億2,590万9千円は、「当年度分消費税及び地方消費税資本的収支調整額」と「過年度分損益勘定留保資金」で補てんするものであります。

 次に、議案第13号「平成29年度甲賀市診療所事業会計予算」につきましては、地域密着型の国保直営診療施設として、住民の健康維持を担う「みなくち診療所」の運営を行うための会計であり、収益的収支予定額を2億1,600万円、資本的収入予定額を3,000万円、資本的支出予定額を4,691万7千円とするものであります。

 地域住民の生命・健康を守るため、地域に密着した身近なかかりつけ診療所として安全で心の通った医療・保健サービスを提供し、地域医療の拡充を図ってまいります。

 次に、議案第14号「平成29年度甲賀市介護老人保健施設事業会計予算」につきましては、在宅療養の支援を行う介護老人保健施設「ケアセンターささゆり」の運営を行うための会計であり、収益的収支予定額を3億1,900万円、資本的支出予定額を1千317万4千円とするものであります。

 高齢者が年々増加する中、公的施設のきめ細やかなサービスを基本とし、利用者一人ひとりを尊重したケアの実践により、要介護者の自立支援や家庭復帰を目指した介護サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。

 次に、議案第15号「平成29年度甲賀市下水道事業会計予算」につきましては、収益的収入の予定額を41億485万4千円、収益的支出の予定額を39億6,923万円とするもので、流域下水道維持管理負担金や、管路施設及び処理場の維持管理経費のほか、水洗化率と収納率の向上に向けた経費などを計上いたしております。

 また、資本的収入の予定額を17億2,392万2千円、資本的支出の予定額を29億8,864万円とするもので、下水道整備事業の概ね10年での概成に向けて、未整備地区の整備を継続することとし、信楽地区等の下水道整備工事にかかる経費を計上しております。

 なお、資本的収入が資本的支出に対し不足する額、12億6,471万8千円は「当年度分消費税及び地方消費税資本的収支調整額」と「過年度分損益勘定留保資金」及び「当年度分損益勘定留保資金」で補てんするものであります。

 以上、4年間で着実に成果を出すため「オール甲賀で未来につなぐキックオフ予算」として編成をさせていただきました。

 何とぞご審議賜りますようお願い申しあげます。

 平成29年2月16日