わが国の放射線検査数が多いことは事実です。しかしそれは、医療機関が身近にあり、いつでも必要な検査を受けられることに他なりません。放射線検査によって得られるメリットと放射線検査によるリスクについて医師から十分な説明を受け、放射線検査を受けるかどうかは患者さん自身が判断できます。不安な点がありましたら、医師や診療放射線技師に相談してください。
(日本放射線技師会 放射線検査を安心して受けていただくために 抜粋)
CTは被ばく線量が通常のエックス線検査の被ばく線量よりも約100倍も高い装置でありながら多くの医療機関に導入されており、全世界の装置数の約30%が日本にあります。しかしながら、通常のエックス線検査ではわかりにくい病巣も鮮明かつ容易に提供することが可能で、現代の医療にとって必要不可欠な検査になっています。CT検査が患者さんの診療を行ううえで、非常に有用な検査の一つであることを否定する医師や診療放射線技師は皆無であると考えます。
医療行為のすべてにリスクは存在しています。逆に、医療を受けないという選択にもリスクは存在しています。放射線検査を受けることによって、疾患の有無・早期発見、治療方針の決定、予後の推定など、患者さんの多くはメリット(利益)を受けており、メリットの方が被ばく等のリスクよりも十分に大きい時にのみ検査が行われています。また、病気があるかどうか、またどんな病気かわからなければ治療ができず、放射線検査をうけないことによって病態を悪化させてしまうリスクを負うことも忘れてはなりません。
子どもさんの被ばくで親御さんの心配は「発がん」「成長不良」「不妊」であることが多いようです。小さい頃から検査のために被ばくするということは、健康な子どもさんよりも一生で受ける被ばくが多くなる可能性がありますから、心配されるのも無理はありません。また放射線の体への影響の特徴として、若い人ほど影響を受けやすいとも言われています。原爆被爆者の方の調査結果から、影響が出そうな線量は示されていますが、検査を繰り返しても医療被ばくかその量に達することはないでしょう。しかし、被ばくは少ないにこしたことはありませんから、無駄な検査は避けるべきです。お医者さんからよく説明を受けて、その必要性が納得できたら、その時は安心して検査を受けてください。
(滋賀県放射線技師会 放射線被ばくの事例相談Q&A 抜粋)
妊娠する前の子ども・学生時代に自分が受けた放射線検査により、障がい児が生まれたりしないか?ということが心配だと思います。放射線の影響は、遺伝するように感じておられると思いますが、仮に卵子・精子を作る元の細胞が何らかの影響を受けたとしても、少しの傷なら自分で治してしまいます。もし、その傷が治せないほどの傷だったときは妊娠しないことが解っています。広島・長崎、アメリカでの原爆実験、原子力関係労働者などで被爆された方々の子どもの遺伝子異常発生率が、被爆されなかった人々に比べて増えたというデータは世界のどこからも出ていません。すなわち、妊娠する前の被ばくが原因で障害を持った子どもが誕生することは無いということです。