農業所得は、「収入金額」から「必要経費」を差し引く『収支計算』によって計算します。

収支計算とは

1年間(1月1日~12月31日)の「収入金額」から「必要経費」を差し引いて所得金額を計算する方法です。

【収支計算の算式】

収入金額 - 必要経費 = 所得金額

農業所得に関する出荷伝票や領収書等を保存し、帳簿への記帳及び集計をすることが必要となります。

収支計算による申告を行うためには、次の記録や保存が必要となります

  1. 米・農作物を販売したときの記録と、出荷伝票や領収書の控えなどの保存(通帳・売上伝票・出荷伝票・請求書・領収書・レシートなど)
  2. 米・農作物を家事消費(自宅での消費や親戚等への贈答など)したときの記録
  3. 米・農作物を事業消費(現物による小作料の支払いなど)したときの記録
  4. 農業に関する、各種補助金を受けることが決定したときの通知書等の保存と記録
  5. 肥料・農薬・諸材料などの経費に係る記録と、請求書や領収書などの保存
  6. 年末において在庫(未販売・未使用)となっている農作物、肥料、農薬、諸材料などの記録

農業所得収支計算ソフトについて

農業の収支計算を手助けできる「農業所得収支計算ソフト」を掲載しておりますのでご利用ください。このソフトに農業関連の収入や経費を入力していただくだけで、収支内訳書を作成することができます。

使用上の注意

下記の「農業所得収支計算ソフト」の上で右クリックして「対象をファイルに保存(A)」を選択しご使用のコンピューターに保存してください。

このソフトはマクロを使用していますので、ファイルを開くときは、「マクロを有効にする」を選択してください。

   農業所得収支計算ソフト(XLS形式)

※Windows7・Excel2016での動作確認はしていますが、他の環境での不具合についてのお問い合わせには対応できかねますのでご了承ください。

減価償却資産の償却方法は次のとおりです

農業所得 耐用年数の変更(平成20年度税制改正) 《平成21年分の確定申告から適用》

減価償却資産の耐用年数等に関する省令が改正され、機械及び装置を中心に実際に即した使用年数を基に資産区分が整理されるとともに、法定耐用年数の見直しが行われました。

平成21年分の確定申告から農業用の設備(機械・装置)は法定耐用年数が大幅に改正され全て7年に統一されました。

耐用年数の変更は新たに取得した減価償却資産だけでなく、平成20年分以前から 償却されている資産も改正後の耐用年数で計算する必要があります。

主な減価償却資産の耐用年数および償却率

種類 用途・構造 改正前 改正後
耐用年数 償却率 耐用年数 償却率
旧定額法
(平成19年3月31日
以前取得)
定額法
(平成19年4月1日
以降取得)
旧定額法
(平成19年3月31日
以前取得)
定額法
(平成19年4月1日
以降取得)
農機具 トラクター(乗用) 8 0.125 0.125 7 0.142 0.143
脱穀機
籾すり機
乾燥機
田植機 5 0.2 0.2
コンバイン(自脱型)
耕うん機
車輌 軽トラック 4 0.25 0.25 4 0.25 0.25
普通トラック 5 0.2 0.2 5 0.2 0.2
建物 木造(倉庫・作業場) 15 0.066 0.067 15 0.066 0.067
簡易建物(柱が10cm以下) 10 0.1 0.1 10 0.1 0.1
仮設・堀立造 7 0.142 0.143 7 0.142 0.143

税制改正により平成19年4月1日以降に取得された資産と、平成19年3月31日以前に取得された資産では、償却率が違ってきますのでご注意ください。

たとえば、平成18年5月に購入した田植機と、平成20年3月に購入した田植機(いずれも改正前耐用年数5年)について、改正後の耐用年数は7年となります。

しかし償却率は、平成18年購入のものは「0.142」、平成20年購入のものは「0.143」となります。

 

その他の減価償却資産の耐用年数については、国税庁ホームページにてご確認ください。

国税庁ホームページ

計算例

例1.田植機を平成18年5月に3,000,000円で取得。【改正前耐用年数5年(0.2)⇒改正後7年(0.142)】

※耐用年数の後にある()内の数字は償却率です。


申告年 減価償却費 未償却残高
1年目 平成18年分 360,000円 2,640,000円 (3,000,000×0.9×0.2×100%×8月÷12月)
2年目 平成19年分 540,000円 2,100,000円 (3,000,000×0.9×0.2×100%×12月÷12月)
3年目 平成20年分 540,000円 1,560,000円 (3,000,000×0.9×0.2×100%×12月÷12月)
4年目 平成21年分 383,400円 1,176,600円 (3,000,000×0.9×0.142×100%×12月÷12月)
5年目 平成22年分 383,400円 793,200円 (3,000,000×0.9×0.142×100%×12月÷12月)
6年目 平成23年分 383,400円 409,800円 (3,000,000×0.9×0.142×100%×12月÷12月)
7年目 平成24年分 259,800円 150,000円 (409,800-3,000,000×0.05)
8年目 平成25年分 30,000円 120,000円 5年間で均等償却
9年目 平成26年分 30,000円 90,000円
10年目 平成27年分 30,000円 60,000円
11年目 平成28年分 30,000円 30,000円
12年目 平成29年分 29,999円 1円
例2.田植機を平成19年5月に3,000,000円で取得。【改正前耐用年数5年(0.2)⇒改正後7年(0.143)】

申告年 減価償却費 未償却残高
1年目 平成19年分 400,000円 2,600,000円 (3,000,000×0.2×100%×8月÷12月)
2年目 平成20年分 600,000円 2,000,000円 (3,000,000×0.2×100%×12月÷12月)
3年目 平成21年分 429,000円 1,571,000円 (3,000,000×0.143×100%×12月÷12月)
4年目 平成22年分 429,000円 1,142,000円 (3,000,000×0.143×100%×12月÷12月)
5年目 平成23年分 429,000円 713,000円 (3,000,000×0.143×100%×12月÷12月)
6年目 平成24年分 429,000円 284,000円 (3,000,000×0.143×100%×12月÷12月)
7年目 平成25年分 283,999円 1円 備忘価格1円を残し償却
注1
平成19年3月31日以前に取得した資産については、平成21年以降は取得価格に0.9を掛けた後、耐用年数7年に対応した旧の償却率(0.142)を掛けます。
注2
平成19年4月1日以降に取得した資産については、平成21年以降は取得価格に対して耐用年数7年に対応した新しい償却率(0.143)を掛けます。
注3
平成19年3月31日以前に取得した資産については、取得価格の95%まで償却した後、翌年から5年間の均等償却を行います。(最終年で備忘価格1円を残します。)
例3.トラクターを平成18年5月に1,750,000円で取得。【改正前耐用年数8年(0.125)⇒改正後7年(0.142)】

申告年 減価償却費 未償却残高
1年目 平成18年分 131,250円 1,618,750円 (1,750,000×0.9×0.125×100%×8月÷12月)
2年目 平成19年分 196,875円 1,421,875円 (1,750,000×0.9×0.125×100%×12月÷12月)
3年目 平成20年分 196,875円 1,225,000円 (1,750,000×0.9×0.125×100%×12月÷12月)
4年目 平成21年分 223,650円 1,001,350円 (1,750,000×0.9×0.142×100%×12月÷12月)
5年目 平成22年分 223,650円 777,700円 (1,750,000×0.9×0.142×100%×12月÷12月)
6年目 平成23年分 223,650円 554,050円 (1,750,000×0.9×0.142×100%×12月÷12月)
7年目 平成24年分 223,650円 330,400円 (1,750,000×0.9×0.142×100%×12月÷12月)
8年目 平成25年分 223,650円 106,750円 (1,750,000×0.9×0.142×100%×12月÷12月)
9年目 平成26年分 19,250円 87,500円 (106,750-1,750,000×0.05)
10年目 平成27年分 17,500円 70,000円 5年間で均等償却
11年目 平成28年分 17,500円 52,500円
12年目 平成29年分 17,500円 35,000円
13年目 平成30年分 17,500円 17,500円
14年目 平成31年分 17,499円 1円
例4.トラクターを平成19年5月に2,400,000円で取得。【改正前耐用年数8年(0.125)⇒改正後7年(0.143)】

申告年 減価償却費 未償却残高
1年目 平成19年分 200,000円 2,200,000円 (2,400,000×0.125×100%×8月÷12月)
2年目 平成20年分 300,000円 1,900,000円 (2,400,000×0.125×100%×12月÷12月)
3年目 平成21年分 343,200円 1,556,800円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
4年目 平成22年分 343,200円 1,213,600円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
5年目 平成23年分 343,200円 870,400円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
6年目 平成24年分 343,200円 527,200円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
7年目 平成25年分 343,200円 184,000円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
8年目 平成26年分 183,999円 1円 備忘価格1円を残し償却
例5.トラクターを平成20年1月に2,400,000円で取得。【改正前耐用年数8年(0.125)⇒改正後7年(0.143)】

申告年 減価償却費 未償却残高
1年目 平成20年分 300,000円 2,100,000円 (2,400,000×0.125×100%×12月÷12月)
2年目 平成21年分 343,200円 1,756,800円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
3年目 平成22年分 343,200円 1,413,600円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
4年目 平成23年分 343,200円 1,070,400円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
5年目 平成24年分 343,200円 727,200円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
6年目 平成25年分 343,200円 384,000円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
7年目 平成26年分 343,200円 40,800円 (2,400,000×0.143×100%×12月÷12月)
8年目 平成27年分 40,799円 1円 備忘価格1円を残し償却

中古資産の計算方法

例1.平成20年8月にトラクター(中古:2年経過)を700,000円で購入

簡便法により

改正前
8年 - (2年(経過年数)×0.8) = 6.4年 = 6年(償却率:0.167)
改正後
7年 - (2年(経過年数)×0.8) = 5.4年 = 5年(償却率:0.20)

申告年 減価償却費 未償却残高
1年目 平成20年分 48,708円 651,292円 (700,000×0.167×100%×5月÷12月)
2年目 平成21年分 140,000円 511,292円 (700,000×0.20×100%×12月÷12月)
3年目 平成22年分 140,000円 371,292円 (700,000×0.20×100%×12月÷12月)
4年目 平成23年分 140,000円 231,292円 (700,000×0.20×100%×12月÷12月)
5年目 平成24年分 140,000円 91,292円 (700,000×0.20×100%×12月÷12月)
6年目 平成25年分 91,291円 1円 備忘価格1円を残し償却
例2.平成20年6月に田植機(中古:5年経過)を500,000円で購入

簡便法により

改正前
5年 - (5年(経過年数)×0.8) = 1年 = 2年(償却率:0.500)
※計算により耐用年数が2年未満となった場合は、2年(償却率:0.500)で計算する
改正後
7年 - (5年(経過年数)×0.8) = 3年 = 3年(償却率:0.334)

申告年 減価償却費 未償却残高
1年目 平成20年分 145,833円 354,167円 (500,000×0.500×100%×7月÷12月)
2年目 平成21年分 167,000円 187,167円 (500,000×0.334×100%×12月÷12月)
3年目 平成22年分 167,000円 20,167円 (500,000×0.334×100%×12月÷12月)
4年目 平成23年分 20,166円 1円 備忘価格1円を残し償却
例3.平成19年1月にトラクター(中古:5年経過)を1,100,000円で購入

簡便法により

改正前
8年 - (5年(経過年数)×0.8) = 4年 = 4年(償却率:0.250)
改正後
7年 - (5年(経過年数)×0.8) = 3年 = 3年(償却率:0.333)

申告年 減価償却費 未償却残高
1年目 平成19年分 247,500円 852,500円 (1,100,000×0.9×0.250×100%×12月÷12月)
2年目 平成20年分 247,500円 605,000円 (1,100,000×0.9×0.250×100%×12月÷12月)
3年目 平成21年分 329,670円 275,330円 (1,100,000×0.9×0.333×100%×12月÷12月)
4年目 平成22年分 220,330円 55,000円 (275,330-1,100,000×0.05)
5年目 平成23年分 11,000円 44,000円 5年間で均等償却
6年目 平成24年分 11,000円 33,000円
7年目 平成25年分 11,000円 22,000円
8年目 平成26年分 11,000円 11,000円
9年目 平成27年分 10,999円 1円

【償却可能限度額及び残存価格の廃止等(平成19年度税制改正)】

  1. 税制改正により、平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産について、償却可能限度額(取得価額の95%相当額)及び残存価格が廃止され、耐用年数経過時点において1円まで償却できるようになりました。
  2. 平成19年3月31日までに取得した減価償却資産について、前事業年までに必要経費に算入された金額の累積額が償却可能限度額(取得価格の95%相当額)まで達している場合には、その達した年分の翌年分以後5年間で1円まで均等償却できるようになりました。なお、この改正は平成20年分から適用されますので、既に償却可能限度額に達していても、平成19年分では適用はありません。