あいの土山の「あい」はどういう意味ですか。

 土山を称した言葉に「あいの土山」があります。「坂は照る照る 鈴鹿は曇る あいの土山 雨が降る」と鈴鹿馬子唄に唄われるこの言葉にはさまざまな解釈があります。東海道のなかで箱根に次ぐ難所とされた鈴鹿峠は、特に伊勢側からの上りが急峻で、旅人たちは苦労したようです。そこで、人や荷物を運搬する馬子が重宝され、活躍していくようになりました。鈴鹿馬子唄はそんな馬子たちの労働歌として生まれ、後に人形浄瑠璃などの演目の中で登場し、広く知られることとなりました。

 「あいの土山」の「あいの」には諸説あり、いまだに定説がありません。土山で伝えられる主な説をご紹介します。

1.相の土山説

 鈴鹿馬子唄の歌詞で、坂(坂下宿)は晴れ、鈴鹿(鈴鹿峠)は曇り、相対する土山(土山宿)は雨が降るとする説。鈴鹿峠を境に伊勢側と近江側では天候ががらりと違う。

2.間の宿説

 宿駅制度ができ、土山が本宿に設定される以前は間(あい)の宿であったことから、坂下宿程繁栄していないことを唄ったとする説。「照る」を栄える、「雨が降る」を「さびれる」と解するようだ。

3.鈴鹿の坂説

 峠の頂上付近に土山という土盛があったとする説。

4.間の土山、松尾坂説

 鈴鹿馬子唄の歌詞で、坂を松尾坂(土山宿の西、野洲川西岸部分にある坂のこと)と考え、鈴鹿(鈴鹿峠)との間にある土山(土山宿)は雨が降るとする説。 

5.藍の土山説

 当時土山では藍染めが盛んで藍草の栽培が行われていたとする説。

6.鮎の土山説

 当時、土山では鮎漁が盛んで、特産物として有名であったとする説。

7.あいのう土山説

 北伊勢地方の方言に「あいのう」という言葉があり、「まもなく」という意味であることから、「まもなく土山へ着く」とか「まもなく雨が降ってくる」と解釈する説。

8.かけ声説

 鈴鹿馬子唄は民謡なので、民謡独特のかけ声ではないかという説。

【参照:機関紙「土山浪漫」〔現:土山ろまん〕第2号(平成3年2月 土山の町並みを愛する会発行)】

など、諸説ありますが、まだまだいろいろな解釈ができる言葉ですので、新しい説やご意見などがありましたら、ぜひお知らせください。