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令和2年第1回甲賀市定例会(3月議会)市長挨拶及び施政方針要旨

 皆様、おはようございます。

 立春も過ぎ、甲賀市に春の訪れを告げる田村神社の厄除大祭が執り行われております本日ここに、令和2年第1回甲賀市議会定例会が開会されるにあたり、提案いたします議案のご審議を願うに先立ち、議長のお許しをいただきましたので、お時間を頂戴し施政方針の一端と主要施策の概要を述べさせていただきます。

 世界的に猛威を振るっている新型コロナウィルス感染症につきましては、WHO・世界保健機関が緊急事態を宣言し、政府が「指定感染症」としたことや、近隣府県で感染事例が発生していることを受け、本市では2月3日に対策本部を設置し、感染予防対策の指示と感染者が発生した場合の対応手順の確認を行いました。

 特に、小・中学校をはじめとする公共施設や、市内でも特に地域間の往来が多く、市民の方もたくさんお勤めの新名神高速道路土山サービスエリアや甲南パーキングにおいて手指消毒液設置等による予防対策の徹底、また、入院を必要とする感染者の発生時には感染症指定医療機関である甲賀病院で対応となることから、万全の備えを行うよう病院副管理者としても指示したところです。

 加えて、友好都市の湖南省張家界市からの要請を受け、医療用マスクや防護服が入った感染症対策セットを500セット送付しております。

 今月3日の衆議院予算委員会では、安倍首相から「観光を含めた地域経済などにも大きな影響をもたらし始めている」とのコメントがあったように、「スカーレット効果」により順調に観光客数が伸びてきた時期だけに観光分野をはじめ製造現場など地域経済への影響を大変心配しているところです。

 米中貿易摩擦により減速している中国経済がさらに急激に悪化すれば、世界経済を脅かす新たな要因として影を落とすことになり、特に昨年10月の消費増税により景気に後退感が見られる現状においては、大きな打撃となることから動向を注視していく必要があります。

 市民皆様の不安を過度に煽ることがないよう気を配りながら、県との連携を密にして感染予防のための啓発や適切な情報提供等に引き続き取り組んでまいります。

 また、この冬は例年と比べてことのほか気温が高く、積雪が少ないのはありがたいものの、春以降の水不足や琵琶湖の水質悪化、獣害の被害拡大などの心配要因となっています。

 地球規模での気候変動は、本市におきましても遅霜による特産品のお茶への影響や、農作物全般に及ぼす影響、さらには集中豪雨による浸水被害など、大きな不安材料となっており、防災面での十分な備えの必要性も深く認識しているところでもあります。

 さて、市長に就任させていただいてから、はや4年目の締め括りの年を迎えております。市長就任後に初めて開催されました市議会臨時会におきまして、市民の皆様の熱い期待に応えられるよう、常に市民の声に真摯に耳を傾け、市民目線を大切にして、市民の暮らしの充実と市政の発展のために全力で取り組み、任期4年間で確実に成果を上げることができるよう、誠心誠意努力していくことをお約束をさせていただきましたように、この3年余りは、できるかぎり地域行事に出かけ、第2次甲賀市総合計画に定めました、本市の将来像「あい甲賀 いつもの暮らしにしあわせを感じるまち」の実現のため、「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」の3つの分野を柱に議会、市民の皆様のご理解とご協力を得て各種施策を進めてまいりました。

 「子育て・教育」においては、エアコン整備やトイレ改修、国に先駆けたICT教育の取り組みなど教育環境の整備をはじめ、保育士確保と保育園や児童クラブ整備などの保育環境の充実、医療費や保育料など子育てにかかる経済的負担の軽減、さらに不妊治療費の軽減をはじめとする結婚、妊娠、出産、育児までの切れ目のない支援に取り組んできました。

 「地域経済」では、ふるさと納税額の大幅アップ、本市特産品の海外販路開拓、立命館大学との包括連携協定をはじめとする官民連携協定の締結、地場産業の振興と地域ブランド化推進、女性や若者の就業や活躍支援、観光振興による地域経済の活性化、新たな工業団地造成と企業の誘致などにも取り組んできました。

 また、「福祉・介護」では、小規模多機能自治の推進、公共交通の利便性の改善、健康寿命の延伸、生活困窮者への支援、地域共生社会づくりなどに取り組み、それぞれの分野において着実に成果が出ているものと確信しているところであります。任期満了までの8ケ月余りの間、お約束しましたこの他の項目につきましても、確実に成果をあげるよう進める所存です。

 一方、急速な人口減少社会という、かつて誰も経験したことのない社会が現実となった今、社会保障や産業経済、地域コミュニティなど様々な分野おいて新たな課題が生まれ、年を追うごとに市政運営の難しさを実感しています。

 中でも、人と人との関係性が希薄となり孤立化が進み、貧困や不登校、独居高齢者の増加など、日本全体で起こっているこれらの問題については、本市においても顕在化しております。

 このような時代にあっても、市民の皆様、お一人おひとりがいつもの暮らしの中に「幸せ」を実感していただけるよう、細やかな対応を行うためには、市長就任当初より申し上げておりますように、行政だけでは限界があることから、市民、地域、事業者、関係団体の皆様にご協力をいただきながら、それぞれの力が最大限発揮されるよう「オール甲賀」の取り組みをさらに進化させながら、着実な歩みを一歩ずつ進めていく必要があります。

 私は、毎年、年頭にその年の目標を定めておりますが、今年の目標を「繋ぐ」といたしました。これには、様々な主体が繋がる「オール甲賀」はもちろんのこと、地域の繋がりにより、住民同士が支え合う「我が事、丸ごと」による地域共生社会の実現や、災害発生時に「共助」が機能するための地域コミュニティの再生、国や県と市が繋がり共に地方創生に挑んでいくことや、今後のこの地域の経済発展にとって大変重要なインフラとなる名神高速道路と名阪国道を繋ぐ名神名阪連絡道路の早期実現など様々な思いを込めたものであり、この目標をふまえ、人と人、団体と団体、地域と地域など様々なつながりを大切にしながら課題に挑戦していきたいと考えております。

 さて、令和2年度の国の一般会計予算案は、予算規模にして102兆6,580億円、対前年度1.2%増と、昨年度に引き続き100兆円を突破しております。

 国の予算のポイントとしては大きく3つで、一つ目は全世代型の社会保障制度の充実に向け、本格化する幼児教育・保育の無償化や高等教育の無償化、就職氷河期世代への支援、予防医療の推進などの社会保障の充実と人づくり、二つ目は、消費増税の影響や東京オリンピック・パラリンピック後の景気の下支え対策、そして、三つめは、災害に強い国土をつくるための、防災・減災、国土強靭化のための緊急対策の推進とされております。

 また、地方自治体全体の歳入歳出総額の見込額を示す地方財政計画が初めて90兆円を超えました。社会保障費の増加等いくつかの要因がありますが、新しく始まる会計年度任用職員制度の施行に伴う非常勤職員への期末手当等の支給もその一つとなっています。厳しい地方財政状況の中、増加する行政需要への対応ため非常勤職員が増えており、任用や処遇等の明確化を図るため導入されるものでありますが、財源等の手当ても不透明なままに国の方針で進められており、幼保無償化に伴う影響とともに地方自治の現場での実情を国にしっかりと伝えていくことも必要であると考えています。

 それでは、令和2年度当初予算の概要についてご説明を申し上げます。一般会計当初予算は、第2次甲賀市総合計画の第1期基本計画ならびに第1次総合計画実施計画の最終年度の総仕上げとして、掲げるまちの実現に向け、これまでの取り組みをさらにステップアップさせる重要な年であることから「オール甲賀で未来につなぐ!ステップアップ予算」といたしました。

 「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」の3つの分野でこれまで取り組んできた実績をベースに、さらに事業効果を生み出し、市民皆様の生活に直結する課題の解決につなげていきたいと考えております。かねてから老朽化が課題となっていた公共施設の改修につきましては、市長就任以降から公共施設の再編を見据えた中で必要な整備を合併特例債などの有利な財源を活用して進め、令和元年度で早急な対応が必要であった整備が一旦完了することから、令和2年度の甲賀市一般会計の当初予算総額は、対前年度比8.9%減の394億3,000万円となりました。

 次に主な施策、事業につきまして、「子育て・教育」「地域経済」「福祉・介護」の3つの分野ごとに概要を申し上げます。

 まず、「子育て・教育」分野では、より良い保育や教育環境を提供するため、伴谷、水口東部、甲南地域における認定こども園の整備と、通園・通学時の移動経路にかかる安全対策の強化、防犯カメラ設置等に安全安心の取り組みを進めます。

 ICTによる教育環境の充実をさらに図るためモデル校での実践と研究を進め、加えて、教員の事務負担軽減を図るため校務支援システムの導入により生徒と向き合う時間を確保するとともに、教員のスキルアップ、不登校など不安や悩みを抱える児童生徒とその保護者への支援を関係機関と連携して進めるなど本市の教育力と質の向上を図ります。

 また、ひとり親世帯が離婚相手から養育費が受け取れず生活が困窮するのを防ぐため、養育費を受け取る仕組みを構築します。

 次に、「地域経済」分野では、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウン事業や聖火リレー運営など世界的なスポーツの祭典や、移転オープンする信楽伝統産業会館での「六古窯サミット」と、「まちなか芸術祭」の開催、さらには来年春の全国植樹祭開催に向け本市の魅力発信に取り組みます。

 忍者を核とした観光拠点施設「甲賀流リアル忍者館」のオープンにより、観光客の受け入れ体制の整備やロケツーリズムに取り組み、持続的な観光振興へつなげるとともに、お茶、薬、陶器など地場産業の振興などにより、地域経済全体へ波及効果を生み出す事業を展開していきます。

 起業支援や事業継承を進めるため、(仮称)甲賀ビジネスサポートセンターと連携し、中小企業の支援に取り組みます。女性や若者が活躍できる環境整備をさらに進めるとともに、本市の経済を支えている外国籍市民の相談体制や日本語教室の充実も図ります。

 また、土山宿、水口宿の旧東海道における市街地の空洞化対策や、にぎわいの再生、貴生川駅周辺の「人口のダム機能」を高めるため、地域の皆様とともに「特区構想」の実現のため取り組みをさらに進めます。

 「福祉・介護」分野では、地域共生社会の構築に向け、地域・関係者・専門機関などのネットワークによる住民主体の見守り、支え合い活動の展開、生活困窮者やひきこもり支援のための相談体制の強化、人生100歳時代おけるアクティブシニア育成のため100歳大学やシニア食育教室の開催、骨髄移植ドナー支援として、さらにドナー登録が進むよう本人に加え、その方が勤務される事業所へも助成制度を拡充します。

 中山間地域における、空き公共施設の利活用、新しい農作物の栽培支援や獣害対策の強化に取り組むとともに、市民の皆様により利用しやすいコミュニティバスや公共施設にするため、バス位置情報システム等の導入や、インターネットでの施設予約システムなど、ICT技術を活用した利便性向上に取り組みます。

 また、市立医療機関のあり方をはじめ今後の本市の医療政策のあり方を、(仮称)市立医療機関検討委員会を設置し検討していきます。

 このほかにも、窓口サービスの充実化及び事務効率を高めるために戸籍入力をはじめとした業務の一部アウトソーシングや、市役所事務のさらなるICT化を進めます。また、市役所の組織力を強化するため、組織課題を調査・数値化したうえで、組織風土改革に取り組み、職員のモチベーションアップ、働き方改革につなげ、市民サービスの最大化を図ります。

 連続テレビ小説「スカーレット」の放送も残すところあと1ケ月半となりました。大きく変化する時代の中で主人公の喜美子が、困難な状況におかれても、失敗を恐れず手探りでチャレンジしていく、その姿に日々勇気をもらっております。

 先行きが不透明なこの時代においても、果敢に挑戦していく、そこにはリスクもありますが、失敗を恐れて何も挑戦しないのが最大のリスクであると考え、これからも皆様とともにさらなる市政の発展に向け、各種施策の推進に邁進していく覚悟でありますので、一層のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、本日提案いたしますのは、報告案件2件、新年度予算案件が10件、人事案件2件、条例案件11件、補正予算案4件、その他案件6件の合計35案件です。

 どうかよろしくご審議のうえ、ご賛同賜りますようお願い申しあげ、開会にあたりましての挨拶とさせていただきます。

                    令和2年2月18日         甲賀市長 岩永裕貴