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 本日、平成28年第6回甲賀市議会臨時会が開催されるにあたりまして、議長のお許しをいただきましたので、市長就任のご挨拶と市政運営の基本的な考え方や方針につきまして、所信の一端を述べさせていただきます。
 私はこのたびの選挙におきまして、多くの市民の皆様から力強いご支援をいただき、第二代の甲賀市長に就任させていただきました。今、檀上に立たせていただき、改めてその職責の重さを痛感しているところであります。
 市民の皆様の熱い期待に応えられるよう、常に市民の声に真摯に耳を傾け、市民目線を大切にして、市民の暮らしの充実と市政の発展のために全力で取り組み、任期4年間で確実に成果を上げることができるよう、誠心誠意努力していくことを、議員各位ならびに9万市民の皆様に固くお約束をさせていただきます。
 また、合併以来12年間、中嶋前市長、議員各位はじめ、多くの職員が地域の皆さんとともに文化や気質、暮らし方等の異なる5つの町を一つにまとめ、甲賀市の確固たる基盤を築いていただきました。心から感謝と敬意を表するものであります。私はこの基盤の上に、議会の皆様のご指導をいただき、また二元代表制のもと、徹底した議論のうえに時代性に合った新しい風を吹き込むことで甲賀市のまちづくりをステップアップさせ、どこにも負けない元気なまちづくりを実現する覚悟であります。
 そして、このたび甲賀市議会議員補欠選挙におきましてご当選をされた田中喜克議員におかれましては、誠におめでとうございます。甲賀市の発展のためにご活躍されますことを心よりお祈り申しあげます。
 私が政治の道を志すようになった最大の理由は、地域をよくしていくには、地方のことは地方で、また地域のことは地域で判断・決定していけるような地方分権社会に変えていくことが不可欠だと確信したからであります。
 今回、市長選挙に立候補したのもこうした信念のもとに、全国的に見れば大変恵まれた諸条件にありながら、急速に子どもが減少し、若者は学校卒業と同時にふるさとを去り、町なかですら空き家が目立つようになった閉塞感が漂う現状をつぶさに見て、甲賀市の主体的努力によってできることから改革・改善し、ふるさとを元気にしたいと思ったからであります。
 そうした中で、昨日、米国の大統領選挙において、ドナルド・トランプ氏の当選が確実になりました。トランプ氏のスローガンは「Make America Great Again」、「偉大なアメリカを取り戻す」というものでありました。つまり、米国の国益をあらゆる分野で徹底的に追及するということであり、その姿勢を米国民は支持した結果であります。経済や国防など、米国に深く依存している我が国のあり方を考える上で、これまで以上に国、地方ともに国際社会の中での自立が求められることになります。この契機を悲観的に捉えるのではなく、私はチャンスととらえ、今後の甲賀市のさらなる自立と発展に向けた政策の実行に取り組んでまいります。
 さて、このたびの選挙では、50ヶ所を超える地域でタウンミーティングを開催し、市民の皆さんとの対話のもとに13分野、38からなる「市民の声でつくる甲賀のまちづくり政策集」を発表させていただきました。もちろん、これらの政策以外にも重要なことは数多くあります。本日は、個々の政策について申しあげるのではなく、これからの4年間、どのような基本方針等に基づいて市政運営を進めるかについて4点に絞って申しあげさせていただきたいと思います。
 まず、市政運営に当たりましては、市民対話を基本において進めていく考えであります。市民対話に当たっては、市役所の方針の押しつけにならないよう留意するのは当然ですが、市が保有する情報はもちろん、外部から収集した情報も含めて、極力、開示・提供のうえ進めるのが、対等な関係での対話に不可欠であると考えております。特に小中学校等の再編には保護者や地域の方々との対話が不可欠であることから、こうしたことに十分な配慮をしながら、現行の再編計画ありきとせずに、子どもたちの健やかな育ちを第一に考える視点に立って対話を進める中から、広く市民の皆さんの共感が得られるよう、必要な修正を加えていく方針であります。もちろん、私もできるかぎり対話の場に出させていただき、まちづくりの進め方等について前向きな議論ができればと思っております。
 二つめは、人口減少に対する基本認識についてであります。私は人口減少を全国的な傾向だからやむを得ないこと、といった考え方はとりません。人口減少という巨大な波にあらがい、乗り越えられるのは少数の自治体であることは承知いたしておりますが、甲賀市は道は険しくともあえてこの道を進むべきであると考えております。
 その大きな理由として、ひとつは本市が関西圏と中部圏の結節点にあり、製造業だけでなく、観光産業等を含めて産業振興に大きな役割を果たすことを期待されているということであります。
 もうひとつは、本市と大都市を結ぶ鉄道がJR草津線しかないという現実であります。草津線は市民の皆様の通勤や通学に無くてはならない交通手段であり、本市にとって生命線とも言える大切な交通インフラですが、仮に今のペースで人口減少が続くと草津線の減便につながることになり、それによって人口減少にさらに拍車がかかるという負のスパイラルに陥ってしまいます。最低でも人口10万人という目標を掲げた政策立案に取り組まなければ、草津線の増便や複線化の実現が望めないのは、明白なことであります。
 こうした理由等から、私は困難なことであっても、あらゆる施策を集中して、まず人口減少を止め、合併時の目標であった10万人都市を目指していくという前提に立った市政運営を構築してまいります。こうした積極的な考え方に基づいて施策を進めることが、本市が厳しい地域間競争の中、道を切り開き持続的に発展していく唯一の道であると確信をいたしております。
 三つめは、未来を託す子どもたちに、そして本市の持続的発展のために、子育て施策の充実に特に力を入れていく考えであります。これに必要な施設・設備等の環境整備については、必要な財源を確実に確保し、スピード感を持って取り組みを進める考えであり、一部は次期定例会に提案させていただく考えでもございます。
 一方、子育てや教育内容の質的充実については、これまでの現場の皆さんの努力が成果に結びつくように、しっかりとサポートしていきたいと考えております。子育てや教育といった課題には、長期的ビジョンのもとに一貫性のある取り組みをすべきと考えており、そのために外部の有識者等も加わったプロジェクトチームを編成して、よりよい方策を検討していただき、具体の施策に反映していきたいと考えております。また、教育委員会と市長部局の連携を今まで以上に密にすることで切れ目のない施策推進を図る考えでもございます。
 もちろん、そうした検討を待つまでもなく、対応可能な施策については直ちに取り入れていきたいと考えています。
 子育てや教育にしっかりとした取り組みをすることが、人口減少に歯止めをかけ、子育て世代を元気にし、そのことが高齢者等の負担軽減と安心につながり、また本市の持続的発展の原動力になるものと確信をいたしております。
 最後に、産業振興と財源の確保についてでございます。どのような行政施策であれ、実行にはすべて財源が必要であります。そのために、まず行政のムダ削減に市民目線で徹底した取り組みを進めるとともに、私の姿勢を市民の皆様方にお示しするため、給与については次期定例会に減額条例を提案させていただく考えであります。
 また、3ヶ所もある新名神高速道路インターチェンジ等の恵まれたインフラを最大限に活用したり、甲賀市版特区制度等を創設して地場産業や農業、観光産業等を活性化させることで税収を増やす取り組みに積極、果敢に取り組んでまいります。その際、子育てや教育といった課題と同様に、外部の有識者も加わったプロジェクトチームを再編し、独創性と競争力に富んだ産業振興策を構築し、スピード感を持って取り組みを進める方針であります。もちろん、即効性のあるふるさと納税制度には地場産業や観光産業等の振興とリンクをさせながら、速やかに制度設計に着手し、新年度の事業化につなげてまいります。
 こうした取り組みを精力的に進めることで、安定した財源確保と健全財政の堅持のもと、次代の負担とのバランスを図りながら、市民の皆さんの願いを一つひとつ、着実に具体化していく考えであります。
 私が生まれ育った信楽を中心に活躍され、まだまだ当時未熟だった日本の福祉制度に息吹を吹き込んだ社会福祉の父、糸賀一雄氏がおっしゃった「自覚者が責任者」、この言葉を胸に刻みながら本市が直面する課題に臆することなく挑戦をし、その責任をしっかりと果たしてまいります。
 なお、選挙中に申しあげたいくつかの事業見直し等につきましては、速やかに事務的な再検討と関係者との調整を進めるとともに議会の皆様にご説明をし、市民の皆様の理解が得られる見直し等を迅速かつ丁寧に進めてまいります。
 以上、私の市政運営にあたって基本方針等をご説明させていただきました。市民の皆様の負託に応え、市政発展のためにその使命を果たせるよう、市議会議員の皆様には格別のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申しあげます。
 本日提案いたしますのは、報告案件が2件、補正予算案件が1件、財産の取得案件が3件、人事案件が3件、計9件でございます。
 よろしくご審議のうえ、ご決定賜りますようお願い申しあげます。

                            甲賀市長 岩永 裕貴