本日、令和2年第5回甲賀市議会臨時会の開会にあたりまして、議長のお許しをいただきましたので、市政に対する私の所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民皆様のご理解とご協力を賜りたく存じます。
 この度の市長選挙におきましては、無投票という結果でありましたが、再選を果たし、引き続き市政を担わせていただくこととなりました。改めてその責任の重さを痛感しているところであり、初心に帰り全身、全霊で市政運営に取り組む所存であります。
 そして、この度甲賀市議会議員補欠選挙におきまして、ご当選された西村慧議員におかれましては誠におめでとうございます。甲賀市発展のため、ご活躍されますことを心よりお祈り申し上げます。
 さて、コロナ禍の影響も重なり選挙戦の中で、これからのまちづくりへの思いをお伝えする機会が持てませんでしたが、これまでの4年間の市政運営を評価し、二期目を託していただいたものと光栄に存じますとともに、心から感謝申し上げる次第です。 
 まずは、これから4年間の市政運営について市民の皆様にお約束します政策集の内容につきまして、しっかりとお伝えすることから二期目をスタートしていきたいと考えております。
 これまでの4年間、「子育て・教育」「地域経済」「福祉・介護」の3つのテーマを軸に市民の皆様に住んで良かった、住み続けたいと思っていただける甲賀市のまちづくりに奔走してまいりました。
 一方で、これまで進めてきた人口減少対策に結びつく移住、定住施策や公共交通機関の利便性向上、インターチェンジなどインフラを活用した活性化をはじめ、将来を見据えた公共施設の適正配置の推進等にさらに力を入れて取り組む必要があり、また今般の新型コロナウイルス感染症では、市民皆様の生命、健康、安全を守り、地域経済の速やかな回復に取り組む必要があります。
 このような状況において、この政策集は、これまでの市民皆様との対話をはじめ議会からいただきましたご意見やご提案、また、庁内において課題となっていたものを整理し、「選ばれるまちづくり」への7つのチャレンジとしてまとめ上げたものであります。この7つのチャレンジをベースに、20分野135項目の具体的な施策、事業を掲げ市民の皆様にお約束させていただくものであります。
 それでは、「選ばれるまちづくり」への7つのチャレンジと、その中身である20分野135項目の中から、中心となる政策、事業について順次申し述べさせていただきます。

 まずは、「「オール甲賀」で持続可能なまちづくり」であります。
 私は、4年前の就任当初から、市行政と市民の皆様、市民活動団体・事業者の皆様などがつながり、また市民の皆様一人ひとりがまちづくりの主役として、それぞれの力を最大限に発揮いただき地域づくりを進める「オール甲賀」の取り組みを推進してまいりました。こうした取り組みにより、市内では、地域課題の解決を図るため、区・自治会、自治振興会をはじめ、テーマ型の市民活動団体の皆様が活発に活動していただき、若者、女性、高齢者の方も含め、多くの皆様がそれぞれの分野でご活躍いただいております。
 一方で行政が提案し、地域で活動をいただいている自治振興会が10年目を迎え、区・自治会との役割分担が明確になっていないなど課題も見えてきており、こうした仕組みを整理し、少子高齢化、人口減少が進展する中で、地域の様々な団体、事業者をはじめ行政が連携、協働しながら地域課題の解決を図る小規模多機能自治の取り組みをさらに前進させてまいります。
 本市には、多くの外国籍市民の皆様がお住まいで、その比率は県内でも第3位と高く、近年では、ベトナム、インドネシアなど東南アジア出身の方が増加しています。人口減少社会において、外国籍市民の皆様は貴重な地域社会の担い手であり、地域経済を支えていただいていることからも、就労や生活サポート体制を充実するとともに、言葉の壁を越えて、日本人も外国籍市民も共に理解し合い、互いを尊重し合いながら住みよい地域づくりを目指します。
 また、人口減少社会においては、女性の活躍も大変重要であり、ワークライフバランスなど働きやすい環境整備をさらに進めてまいります。
 「オール甲賀」の取り組みは、市民皆様への情報提供と対話が大変重要であり、これまで同様、できる限り市民の皆様の活動の現場を伺うとともに、市長座談会やタウンミーティングなどを継続して実施いたします。
 人口減少に歯止めをかけるため、若者層の結婚やUIJターンを応援するきっかけづくりを行うこと、多様な働き方や生き方などライフタイルにあった選択肢を幅広く提供できるようにすること等の取り組みを通して若い世代の皆さんが甲賀市を選び、甲賀市で暮らし始め、結婚し、子どもを産み育てていただく、そうした選ばれるまちになるよう果敢に挑戦いたしてまいります。
 それぞれの強み活かせる大学、企業などとの連携をさらに進めるとともに、東京オリンピック・パラリンピック、六古窯サミット、全国植樹祭などの機会を最大限活かし、本市の魅力を全国に発信することで、選ばれるまちにつながっていくものと確信しております。

 次に2つ目「人と文化を未来につなぐ」であります。
 本市は、聖武天皇により造営された「国史跡紫香楽宮跡」をはじめ、豊臣秀吉の命より築城された「国史跡水口岡山城跡」など、歴史の表舞台に登場する数多くの歴史遺産や文化財を有しており、従来の保存中心の考え方から、周辺地域を含めた一体的な活用に取り組んでまいります。
 来年2021年には、東京オリンピック・パラリンピックが、また、2025年には滋賀県で国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されます。人生100年と言われる時代においては、健康づくりや、生き甲斐づくりというスポーツのもつ役割も重要であり、競技スポーツ及び生涯スポーツの振興の強化に取り組んでまいります。
 また、本市には、信楽焼やアール・ブリュットなどの芸術が息づいています。人々に心の豊かさを与えてくれる芸術はアフターコロナの社会において重要な役割を果たすと考えており、暮らしの中に芸術があり、人生に彩りを与えてくれる、そうした芸術を活かしたまちづくりを進めていきたいと考えております。

 三つ目の「住み慣れた地域での暮らしを守る」についてであります。
 公的福祉サービスなど制度の狭間で課題を抱える方々に寄り添う相談体制づくりや、子どもから高齢者、また、障がいのある方など地域に住まいされている全ての人々が役割を持ち、支え合いながら自分らしく活躍できる地域コミュニティを育てるとともに、市などが提供する公的福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる「我が事 丸ごと(地域共生社会)」の実現に向け取り組んでまいります。
 医療体制の充実については、教育環境の充実と併せて、本市が住みたいまちとして選ばれる大きなポイントとなってくることからも大変重要であると考えています。オンライン診療などにより高度な医療が受診できることや、医療関連企業等との連携による科学的な知見を活かした生活習慣病や介護予防などの健康づくりにも取り組んでまいります。
 また、発生確率が高まっている巨大地震や近年頻発する大雨洪水災害に備え、道路や橋梁、河川等のインフラ整備についても国、県とも連携して一歩ずつ着実に進めてまいります。
 災害対策は、ハード整備に限らず地域との連携、役割分担によるソフト対策も大変重要であり、地域における安全な避難所の指定や確保を図るとともに、感染症が蔓延する中で自然災害が発生する複合災害においても、避難所における安全の確保と集団感染の予防が両立できるよう、これまで以上に災害に備えた対策を進めまいりたいと思います。

 四つ目「地域の「稼ぐ力」を高める」については、ICTを活用したスマート農業をはじめとし、稼げる農業や農福連携を進めるとともに、移住者、若者や女性の就農等担い手の育成に取り組んでまいります。
 また、獣害対策では、引き続き計画的な個体数調整をはじめとした対策強化を図り、人と野生動物が棲み分けのできる里山づくりを目指します。
 県内でも屈指の内陸型工業地域である本市には、多くの企業や事業所に創業いただき、市内企業等に勤務されている市民の割合も多く、税収や雇用などの面から既存企業等の活動支援に取り組むとともに、コロナ禍におけるサプライチェーンの国内回帰など今後の再編を見据えた取り組みを行います。
 また、忍者や信楽焼、薬やお茶など地域資源を生かし、地場産業のイノベーションを積極的に進めるとともに、観光産業の振興等で若者や女性が活躍し市内に多様な雇用の場を創出できるよう取り組むとともに、経済の域内循環を増やすことで地域経済の活性化を目指します。
 長年要望を続けております名神名阪連絡道路は、今年度国の予算概要書に初めて計画の具体化に向け調査を進めることが明記され、事業化に向けて重要な時期を迎えております。市長としてはもちろん、期成同盟会の会長として、重要物流道路指定に向けた要望活動を引き続き強力に実施してまいります。
 公共交通では、自動運転やMaaSといった技術革新の活用も念頭に置きながら、ライフスタイルの多様化を踏まえた公共交通の更なる利便性向上や利用促進に向けた公共交通機関のベストミックスを各事業者等と連携して進めます。
 また、貴生川駅周辺における官民連携による市街地再開発や、市街化調整区域の逆線引きや新たな市街化区域の編入などの戦略的な都市形成に取り組みます。

 次に五つ目の「結婚、出産、子育ての希望に応える」についてであります。
 子育て世代に選ばれるまちを目指すためには、待機児童の解消を実現するとともに、病児保育の実施など多様な保育ニーズへの対応をはじめとして、安心して子育てができる環境づくりが必要です。結婚、妊娠、出産、子育て期まで、切れ目のない支援を充実し、専門的な相談への対応や児童虐待など顕在化しづらい問題の解決も図ってまいります。
 幼保小中再編計画につきましては、本年度中に各地域の再編検討協議会から意見書が提出されることになっており、教育委員会と連携し、取りまとめた内容により市議会や市民の皆様との協議を重ね、今後の進め方の見直しを行ってまいります。
 社会に大きな変化が予測される中、次代を担う子どもたちが社会の中で適応し、力強く生きていくためには確かな学力を育む教育の充実を図るとともに、以前よりタブレット端末や電子黒板の整備に力を入れてまいりましたが、GIGAスクール構想のもと、ICTを主体的に活用できる力を育み、AI時代においても必要とされる人材育成を目指します。
 また、外国にルーツを持つ児童生徒には、日本語初期指導教室「かわせみ」を活用した教育の充実、いじめ問題の撲滅や不登校児童生徒の減少に向けた取り組みを積極的に進めます。

 六つ目の「徹底的な行財政改革による持続可能な自治体経営」については、将来を見据えた公共施設の適正配置を着実に進めるとともに、行政手続きや事務のデジタル化による行政サービスの向上と効率化を図ります。
 市職員のコンプライアンス意識の徹底と成果主義、現場主義を追求する職員の育成、職員自らによる積極的な組織風土改革への取り組みを促進してまいります。また、市職員が地域に出向き市民の皆様とともに活動することや、先進事例を学ぶため積極的に市外に出かけること等により、幅広いスキルの向上に努め多様な人材が育つ市役所づくりを目指します。

 最後七つ目は「市民、事業者等に寄り添う、きめ細やかな新型コロナウイルス対策」であります。
 まずは、市民皆様の健康と暮らしを守ることを最優先事項とし、県と連携した医療体制や検査体制の充実を図ってまいります。コロナ禍による困窮など困難を抱える市民の方々への丁寧な対応、「新しい生活様式」を踏まえた市民、事業者へのきめ細やかな支援、学習保障の充実などをさらに進めていきます。
 また、地域経済への影響を可能な限り緩和できるよう、地場産業への支援を含めスピード感をもって実施してまいります。

 新型コロナウイルス感染症による世界的危機は、これまで当たり前とされてきた物の見方や考え方、社会の価値観にも大きな変化をもたらしています。
 アフターコロナと言われる時代の大きな転換期を迎えることも見据え、市民の皆様が、心身共に健康で、日々の暮らしに幸せを感じ、将来に希望をもっていただけるまちづくりを進めるために、これから皆様と共に新しい価値観やライフスタイル、家族の在り方なども包摂した10の「新しい豊かさ」の視点を追求してまいりたいと考えています。
 「新しい豊かさ」とは、主に、豊かな自然と調和のとれたセンスのある景観づくり、域内経済の活性化やスマートシティによる利便性向上、誰にも居場所がある地域福祉、都市部とのアクセスメリットを活かした便利でゆったりとした暮らしなどと表しておりますが、今後、政策の実施にあたっては、この新しい豊かさのエッセンスを全ての政策に反映して取り組んでいくことといたします。
 新しい豊かさの追求を軸に、道なかばである第2次甲賀市総合計画を軌道に乗せ、これらの施策をしっかりと推進し、着実に実行していくことこそが、市民の皆様の負託に応えることとなり、「いつもの暮らしに幸せを感じるまち」につながっていくものと確信しております。
 選ばれるまち甲賀市の実現に向け、全力で取り組みを進めてまいる覚悟ですので、市政発展のためその使命を果たせますよう、市議会議員の皆様はもとより、市民の皆様には格別のご理解とご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げ、二期目のスタートにあたっての私の所信表明といたします。
 本日提案いたしますのは、補正予算案件が1件、人事案件が3件の計4件であります。
 よろしくご審議のうえ、ご決定賜りますようお願い申しあげます。

                       令和2年11月9日 甲賀市長 岩永裕貴