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令和3年第2回甲賀市議会定例会(3月)市長挨拶及び施政方針要旨

 

 皆様おはようございます。

 寒さの中にも春の訪れを感じる季節となってまいりました。また、昨日からは田村神社の厄除け大祭が執り行われており、多くの方が「コロナの収束」を願われていることと思います。

 また、去る2月13日に福島県沖を震源として、福島県と宮城県で震度6強を観測した地震により、被害を受けられた地域の皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

 さて、本日ここに、令和3年第2回甲賀市議会定例会が開催されるにあたり、提案いたします議案のご審議を願うに先立ち、議長のお許しをいただきましたので、施政方針の一端と主要施策の概要を述べさせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症については、昨年1月30日にWHO世界保健機関により緊急事態宣言が出されてから、早1年余りが経ちましたが、世界での感染者数は先月1月27日には1億人を超え、死者数が215万人を上回るなど、依然猛威を振るっています。

 国内では、先月7日に1都3県に、また、13日には大阪、兵庫、京都の関西3府県を含む7つの府県に2度目の緊急事態宣言が出され、栃木県を除く10都府県は3月7日まで延長されております。政府は感染状況が改善した地域については期限を待たず、1週間単位で解除の可能性を判断する方針で、対象地域での新規感染者数は着実に減少しているものの、病床使用率の改善がなお不十分だとし、今週中の解除を見送る方向で調整との報道がされております。

 また、感染症対策の根拠となる新型インフルエンザ等対策特別措置法や感染症法などの改正法が今月3日に成立し、去る13日から施行されたところです。

 市内におきましては、公立甲賀病院にて2度目のクラスターが発生しており、皆様方には大変なご心配をおかけしております。感染症指定病院、また甲賀圏域の中核病院として感染防止に万全の対策を行うよう、私からも病院長に強く要請したところであり、厚生労働省、甲賀保健所の指導のもと感染対策のさらなる強化に努めるとの報告を受けております。

 例年1月上旬に開催いたします消防出初式や成人式については、やむなく中止の判断をされる自治体がある中、本市では規模を縮小し、感染対策を万全に行い開催いたしました。

 新成人誓いの言葉では、『困難な状況においても前を向き、自分の頭で考え、1歩ずつでも足を進めようとする「もがく力」を学ぶことできた』と言われたのが大変印象的であり、若い皆さんが新しい時代を切り開いてくれる力強さを感じたところです。

 また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に大きな期待が寄せられるワクチン接種につきましては、去る1月27日の臨時議会において関連の補正予算をお認めいただき、2月1日には健康福祉部内に「新型コロナウイルス感染症対策室」を設置し、専従職員4名を含む10名の職員を配属いたしました。

 ワクチン接種については、短期間で非常に多くの方に接種を行うこれまでに経験したことない重要ミッションでありますが、供給時期など不明な事も多く、医療スタッフの確保などの課題もあり、国をはじめ他市の準備状況等について情報収集に努めるとともに、県と連携を取りながら準備を進めております。

 副反応に対する不安の声も聞かれますが、市民の皆様にしっかりと情報を提供し円滑に実施できるよう各部局が連携しオール市役所で取り組んでまいります。

 さて、令和3年度の国の一般会計予算案は、総額にして106兆6097億円、対前年度比3.8%増と9年連続で過去最大となっており、本年度の第3次補正予算と合わせて「15カ月予算」として位置づけられ、新型コロナウイルス感染症対策や低迷する経済の底上げに引き続き取り組むこととされています。

 国の予算編成のポイントとして新型コロナ関連以外では、デジタル社会や脱炭素化社会の実現、少子化対策など全世代型の社会保障制度構築、防災・減災のための国土強靭化、活力ある地方づくりなど中長期的な課題に対応する予算となっています。

 それでは、令和3年度甲賀市一般会計予算案の概要についてご説明申し上げます。

 令和3年度は、第2次甲賀市総合計画の第2期基本計画の初年度であり、市長2期目にあたり所信表明でも述べました「選ばれるまちづくり」への7つのチャレンジと、その中身である20分野の政策を反映した第2期基本計画(案)を踏まえ、『オール甲賀で未来につなぐ「新しい豊かさ」へのスタートアップ予算』といたしました。

 まずは、市民の健康と暮らしを守るために最優先事項である新型コロナウイルス感染症対策に全力を傾注いたします。加えて、ICTを活用し、さらに快適な暮らしと、社会課題の解決を目指すSociety5.0を見据え、行政のデジタル化をはじめとするスマートシティの実現を目指した取り組みを進めてまいります。

 また、アフターコロナを見据え、中長期的な展望を持ちながら引き続き、「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」の3つのテーマを柱とした施策・事業を重点的に推進します。

 「未来のあるべき姿」を描いたうえで政策形成過程における市民、議会との議論や専門人材の参画をさらに進め、多様性が活かせるよう地域や市民団体、事業者などと連携・協働した公民連携を図りながら各種施策に取り組んでまいります。

 以上のことから、令和3年度の一般会計当初予算総額は、対前年度比0.6パーセント増の396億6,000万円となりました。

 次に、主な施策、事業につきまして重点的に取り組む「新型コロナウイルス感染症対策」、「行政のデジタル化推進」と、これまでより3本柱としてきた「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」に分けて概要を申し上げます。

 まず、「新型コロナウイルス感染症対策」では、感染防止を図るため、国・県や医師会等と連携し、ワクチンの接種を円滑に実施するとともに、市役所や公民館、市立医療機関、幼稚園・保育園、小中学校などの公共施設をはじめ、地域の避難所や介護事業所等における感染予防資材として消毒液やマスクなどを購入いたします。

 加えて、私立保育園や放課後児童クラブにおける必要な感染予防資材の購入経費に対して補助を行います。また、離職等により住居を失う恐れのある方への家賃支援や、感染症の重症化リスクが高い高齢者の方を対象に、商業施設での感染リスク軽減を目的とした移動販売モデル事業の実施など、きめ細やかな感染症対策に取り組んでまいります。

 次に「行政のデジタル化推進」については、スマートシティ・スマート自治体の実現に向け、滋賀県及び県内市町と共同で、電子申請システムと手続きガイドを導入し、行政手続の利便性向上、事務の効率化に取り組みます。これにより、引っ越し・結婚などの場面で必要な手続きを分かりやすく案内し、窓口へ出向くことなく手続きが完了できるサービスを実現します。また、今後オンラインによる申請等の取扱いが増加することから、庁内業務を一連してペーパーレスで行えるよう決裁事務を電子化するとともに、緊急時の備えや働きやすい職場環境の実現のため、市役所以外の場所からリモートで勤務が行えるシステムを構築します。

 このほか、区・自治会や自治振興会の活動にICTを取り入れ、円滑な情報共有や役員の負担軽減といった課題の解決に向け、最適なシステム構築のため調査を行うほか、外国人市民が安心して相談できる環境を整えるためのタブレットを活用した多言語による通訳システムを導入します。

 これまでから力を入れてきました「子育て・教育」分野では、多様な保育・幼児教育ニーズに応え、より良い保育・教育環境を提供できるよう、水口東・岩上統合認定こども園などの整備を進め、市内私立園の保育士確保や保育の質を向上するための研修への支援を行います。さらに、現在実施している病後児保育に併せて、市内小児科医と連携し病児保育にも取り組み、きめ細やかな子育て支援の充実を図ります。

 児童虐待防止は各機関の連携よる早期発見と対応が重要であることから、支援対象児童への見守り体制の強化や、コロナ禍における生活困窮家庭等の小学生から高校生、高校中退者などへの学習や生活支援の強化を図ります。

 また、発達に課題を持つ乳幼児と保護者の支援ニーズに対応するため、こじか教室、幼児ことばの教室を統合・強化した児童発達支援センターを4月1日から開設します。指導員をはじめ、心理士、保育士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職員が連携して乳幼児時期の発達をサポートします。

 学校施設では、小中学校施設長寿命化計画に基づき、児童生徒が安全・安心に学校生活が送れるよう、安全性、機能性などを確保する長寿命化事業に着手することとしており、令和3年度は土山中学校の設計に着手いたします。

 報道にもあるとおり、令和4年度から小学校高学年で教科担任制が本格導入されることから、これに先がけて貴生川小学校において、より効果的な授業方法についての実証研究を進め、学力向上につなげてまいります。

 「地域経済」の分野では、本市の豊かな地域資源を活用し、新しい生活様式に対応した事業活動を促進することで域内経済の好循環を生み出し、地域産業の継続と雇用を維持し、税収の確保、人口減少に歯止めをかけられるよう、各種施策に取り組みます。

 商工業関係では、本市の「ものづくり」を一層強固なものとし、更なる企業誘致を進めるため、生産性の向上につながる産業用地の確保や規制緩和などの検討を進めるとともに、本市の魅力を広く発信いたします。また、市内企業等に雇用され、市内に住まれる方を対象に奨学金返済を支援することや、就職氷河期世代の就労支援などにより市内企業等の人材確保を図るとともに、女性の活躍やワーク・ライフ・バランス、働き方改革など多様性や個々の力が最大限発揮できる職場づくりや働き方を推進します。

 アフターコロナにおけるテレワークなど、新たな生活様式に対応した住環境整備への支援、市内店舗でのキャッシュレス決済に必要な機材の整備、手数料に対する補助を行い社会のデジタル化を推進します。

 観光関係では、リアル忍者館を拠点とした周辺観光ルートの整備や日本六古窯サミットの誘致を契機に地域資源を活かした岡本太郎記念展などのイベント開催、「スカーレット」レガシーを活かしたロケツーリズムに取り組み、マイクロツーリズムによる観光客の誘客につなげるとともに、お茶、薬、陶器など地場産業の振興により、地域経済全体へ波及効果を生み出してまいります。

 農林業関係では、就農による社会参画の促進と農業の担い手不足の解消を目的とする「農福連携」を活用した農産物の付加価値の向上や販路拡大、スマート農業の実証実験による農作業の省力化や効率化等により新規就農者確保につなげてまります。

 また、令和4年度の全国植樹祭が万全の準備のもとで開催されるよう、主会場周辺の環境整備を確実に進めるとともに、開催地の積極的な情報発信を図ります。

 「福祉・介護」分野では、誰もが住み慣れた地域の中でつながり、一人ひとりがいつもの暮らしに幸せを感じるまちを目指すため、支える側と受ける側の関係を超え、地域で支え合える地域共生社会の実現に向けて、地域、関係者、専門機関などの連携によるセーフティネットを構築し、地域主体の見守りや支え合いの活動を支援してまいります。社会保障制度の狭間に取り残される人がないよう、課題を抱える市民に寄り添い、子育て、高齢、障がい、困窮等に包括的に対応できる相談体制の整備を進めます。

 今般のコロナ禍で工賃が減った障がい者就労施設の工賃保障に向けた支援や、業務の受発注支援により就労機会を増やし、障がいのある方が地域社会でより充実した暮らしができるよう支援を行うとともに、情報へのアクセシビリティ向上とコミュケーション支援を推進するため、「(仮称)甲賀市手話言語及び情報・コミュニケーション促進条例」の制定に取り組みます。

 また、健康寿命の延伸にむけ、医療、健診、介護情報など一体的なデータの把握と分析により、リスクの高い方を抽出し保健指導等の支援につながるよう、保健事業と介護予防事業の一体的利用を図ります。

 この他にも、市民が主体となり地域課題をビジネスの手法により解決するコミュニティビジネスの構築、エネルギーの地産地消を推進するためのエネルギー循環事業の検討、空き家対策では利用者ニーズに応じて子育てや就労支援など部局横断による施策のパッケージ化、これまでのセーフコミュニティの仕組みを活かし、幅広い連携と市民協働で進める「(仮称)安全・安心ネットワーク推進事業」、東京2020オリンピック聖火リレーの安全な実施、信楽まちなか芸術祭の開催に合わせて、市内全域を文化・芸術で彩るアール・ブリュット事業など文化芸術の振興にも取り組んでまいります。

 私は、新年の初めにその年のキーワードを毎年考えており、今年は「探求」探し求める事としました。探求とは「物事の意義や本質などを探り、見極めようとすること」という意味であります。新型コロナウイルス感染症の影響により、社会の仕組みや価値基準を含めこれまで当たり前とされてきたことが、当たり前でなくなる分野が少なからず出てきており、そうした中でやがて新しい常識や価値観が社会をリードする人や国・企業等よりどんどん出来あがってきます。

 このような時代の大きな転換期をただ静観するのでなく、ひとつでも多くの新しい価値観をこの甲賀市から発信していくことが重要であり、政策集にも記しました「新しい豊かさ」のエッセンスを全ての施策・事業に反映して取り組むことが、今後選ばれるまちづくりには必要と考えております。

 一方で、このような時代の大きな転換期には、その影で取り残される社会的に弱い立場の方がどうして出てまいります。そのサポートは行政の大きな使命であり、誰一人取り残さない社会の実現に向けた取り組みも重要となってきます。

 これまで以上に敏感に様々な情報をキャッチするとともに、市民皆様をはじめ各分野において知見を有する方々と対話を重ねる中で、ヒントを得ながらアフターコロナに向けた甲賀市らしい「新しい豊かさ」を探求し、市民皆様とともにオール甲賀でさらなる市政の発展に向け、各種施策の推進にまい進する所存でありますので、一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、本日提案いたしますのは、報告案件3件、新年度予算案件10件、人事案件1件、条例案件6件、補正予算案件5件、その他案件14件の合計39案件です。

 よろしくご審議のうえ、ご賛同賜りますようお願い申しあげ、開会にあたりましての挨拶とさせていただきます。

 

令和3年2月18日                 甲賀市長 岩永裕貴