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令和3年第4回甲賀市議会定例会(6月)市長開会挨拶

 皆様おはようございます。
 今年の近畿地方の梅雨入りは、記録が残る昭和26年以降で最も早いものとなり、田んぼでは早苗が雨に打たれながらも、すくすくと育っています。
 本日ここに、令和3年第4回甲賀市議会定例会が開催されるにあたり、提案いたします議案のご審議を願うに先立ち、議長のお許しをいただきましたので、ご挨拶を申し上げます。
 市内製造業事業所において新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生しており、市民の皆様にはご心配をおかけしております。甲賀保健所の疫学的調査のもと感染経路の特定やPCR検査等が順次行われており、現在のところ市中感染にはつながっていないとの報告を受けています。引き続き感染状況に注視するとともに必要な支援等を行ってまいります。
 さて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大から1年以上が経ちますが、新規感染者数やワクチン接種の状況が連日大きくニュースで取り上げられる中、今国会においては市民生活にも直接影響のある重要法案が審議されており、デジタル改革関連法や2050年までの脱炭素社会の実現を明記した改正地球温暖化対策推進法などが成立しています。
 政府は、5月25日に経済財政諮問会議を開催し、来年度の予算編成や政策の指針となる「骨太方針」の骨子案を示されたところであります。ポストコロナの「新しい日常」を新しい成長をつなげていくことをコンセプトに、「脱炭素化などグリーン社会の実現」、「官民挙げたデジタル化の加速」、「日本経済を元気にする活力ある地方づくり・新たな地方創生の展開」、「子どもを産み育てやすい社会の実現」の4つを重点課題とし、6月中の決定を目指されています。
 また、国の経済力を示すGDP(国内総生産)の速報値が公表され、今年1月から3月までの値が、物価変動を除いた実質で前期と比べ1.3%の減、年間換算では5.1%と大幅な減となっています。
 主要な国のGDP速報値も出そろい、中国やアメリカの景気回復が速まっている一方で、日本や欧州の遅れが明らかとなり、ワクチン接種の加速と感染抑制が明暗を分ける結果となりました。
 同日に発表の令和2年度の実質GDPも前年度に比べ4.6%の減と、現行統計と比較可能な1995年度以降では最大となり、この感染症が日本経済に与えた影響の大きさを物語っています。
 特に個人消費の落ち込みが大きい中、国や県の施策に加え、本市では地域経済活性化のため昨年度より規模を拡充した「地域経済応援クーポン配布事業」を行うほか、本市の「ものづくり」を人材確保の面から支え、定住・移住にもつながるように、市内企業等に雇用され市内に住まれる方を対象に奨学金返還への支援や、加えて、本定例会においてご審議を願います工場用地の確保につながる緑地率等の規制緩和などにより、感染症や経済危機にも強い地域づくりを進め、地域経済の好循環につなげてまいります。
 また、ワクチン接種のさらなる迅速化や、生活困窮者支援のために必要な予算措置の検討を行っており、追加提案に向けて準備を進めているところであります。
 さて、本市の新型コロナウイルスワクチン接種は、医師会や薬剤師会などのご協力をいただき4月23日から高齢者入所施設での接種を開始いたしました。
 集団接種は5月12日から水口体育館、5月26日から忍の里・プララ、6月2日から信楽開発センターで実施しており、市内医療機関での個別接種もすでに始まっております。
 現在のところ順調に進んでおり、政府から要請がありました7月末までに希望された全ての65歳以上の方への接種完了を目標に取り組みを進めております。
 また、政府は6月末までにワクチン約5,000万回分の確保に目途がついたとして、企業や大学でも接種ができるようにするなど64歳までの一般向け接種に本格的に着手されたところです。産業医が常駐しない中小企業では商工会等を通じた共同実施などが想定されており、しっかりと対応できるよう関係機関と連携を図ってまいります。
 市民生活や地域経済の一日も早い回復に向け、ワクチン接種業務をはじめ新型コロナウイルス感染症対策を最優先に全庁体制で取り組むために、職員の応援体制を一層強化するとともに、総合政策部大橋理事にICT技術を活用した効率的なワクチン接種を推進するため健康福祉部理事との兼務を発令し、新型コロナウイルス感染症対策室へは膨大な事務を滞りなく確実に行うため主事・主査級5人の人事異動を行ったところです。
 また、市役所業務につきましては、業務継続計画を準用し、市民生活への影響を最小限に抑えながら一部休止や延伸、縮小を行うこととしておりますので、市民の皆様にはご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。
 ワクチン接種の予約受付は、1回目となる4月23日からの予約受付では準備した
10,040名の予約枠が、翌日24日の10時30分過ぎに定員に達したことや、コールセンターへの電話が終日つながりにくい状況となるなど、市民の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。
 国からのワクチン供給量が受付開始日の直前まで確定しないなど不透明な状況の中、最大限の供給量を見込んで準備いたしましたが、結果として予約数が限られることになったものです。
 さる、5月22日には予約受付を再開し、前回の課題を踏まえ5月22日、
23日の2日間を臨時受付日として、市職員のべ300人体制により、市役所に臨時予約受付電話の増設、市役所や地域市民センターにおいて職員が予約の支援を行うなどの改善に行い、大きなトラブルなく10,558人の予約を受け付けることができました。
 併せて、予約受付の再開にあたりワクチン接種に関するチラシの全戸配布や、予約がまだの高齢者の方へハガキでの通知も行ったところです。
 5月22日には、区や自治振興会など地域でボランティアの方々が予約受付をお手伝いただき約130人の方に予約をいただきました。オール甲賀の精神が市内に広がっていることを心強く思うとともに、ご協力をいただいた皆様に心から感謝申し上げます。
 今後、12歳以上の方への一般接種を進めてまいりますが、接種を希望される全ての方が予約できる十分なワクチン量の確保のもとに接種体制を整えてまいりますので、慌てずに予約いただくよう改めてお願いします。
 なお、ワクチンの接種により、感染リスクがゼロになるわけではありませんので、接種後も引き続きマスクの着用や手洗い、3密を避けるなど基本的な感染防止対策を徹底いただきますよう重ねてお願いします。
 それでは、3月定例会以降における市政の主な動きにつきましてご報告申し上げます。
 まず、総合政策部所管事項では、鮎河並びに山内地域の閉校、閉園施設の利活用につきまして、旧鮎河小学校では、公募によりドローンのプロパイロット育成をはじめ、改修した教室でのサテライトオフィス事業などを提案された最優秀提案事業者と基本協定を去る5月6日に締結いたしました。
 また、旧山内保育園では、これまでにコミュニティカフェを試験的に運営された事業者から改めて提案があり、最優秀提案事業者に決定いたしました。これら2つの施設利用及び予算措置については、本定例会においてご審議を願うものですが、いずれも地元から地域活性化への大きな期待をいただき、市も事業者としっかりと連携してまいります。
 出水期を迎え、避難情報が法改正に伴い5月20日から変更となり、これまでの避難勧告が廃止され、避難指示に一本化されました。早速5月20日夜から翌21日にかけ豪雨となり大雨警報が発令されましたが、幸いにも大きな被害がなく、避難情報も発令することはありませんでした。今回の変更点については各種広報媒体により周知に努めるとともに、避難情報の的確な運用を図ってまいります。
 次に総務部所管事項では、公共施設の適正配置や長寿命化、適正管理を推進するための実施計画として、3月に甲賀市公共施設等総合管理計画に基づく第1期行動計画を策定し、「令和10年度までに10パーセントの面積縮減」を掲げたところです。今後は、公共施設の機能を適正に維持しつつ、次世代に負担を先送りすることのないよう本計画を着実に進めてまいります。
 次に市民環境部所管事項では、マイナポイント事業の手続期限が延長されたことなどにより、マイナンバーカードの申請数が急増しており、一日も早く交付できるよう休日の交付体制も強化して取り組んでいるところです。
 次にこども政策部所管事項では、低所得世帯へ児童1人に5万円を支給する子育て世帯生活支援特別給付金を、申請不要のひとり親世帯522世帯に支給いたしました。申請が必要なひとり親世帯は5月21日から申請を受付けており、速やかな支給に努めてまいります。
 本年4月からスタートの病児・病後児保育事業における5月末での利用登録数は58人で、延べ11人がご利用されています。問い合せも増えており、引き続き医師と連携しながら安全に実施してまいります。
 続いて、産業経済部所管事項におきまして商工分野では、深刻な影響を受けている市内飲食事業者が、事業継続のため実施されるテイクアウト等の定着を応援するため、毎週金曜日に市役所敷地内でキッチンカーなどでの営業を支援しているところです。これまでに2度実施し、延べ12事業者に出店をいただきました。今月25日までの取り組みとしていますが、出店された事業者のご意見も伺いながら継続的な実施に向けた検討を行ってまいります。
 観光分野では、忍者をテーマに地域の活性化を促進するため、新たに福島嵩仁さんを地域おこし協力隊に任命いたしました。
 福島さんは、日本忍者協議会の事務局で勤務され、甲賀流忍者検定の上級コース合格、また、三重大学大学院の忍者・忍術学コースの修士課程を修了されています。豊かな知識を活かした忍者の調査研究分野や、日本忍者協議会などで培われたネットワークを活かした観光分野での取り組みなど、活躍を大いに期待しています。
 農業部門では、特産品の茶については、早場の茶園を中心に霜の被害があり収量が例年より少なくなっています。共同販売会での価格は、新型コロナ感染症の影響を大きく受けた昨年より若干の上昇傾向となったものの安値が続いており、販路拡大に向け、引き続き関係機関が連携して価格向上への取り組みを進めてまいります。
 また、全国植樹祭関係では、5月30日に「第71回全国植樹祭」が島根県で開催され三日月知事とともに出席をいたしました。開催規模を千人まで縮小し、天皇、皇后両陛下には赤坂御用地からのオンラインでの行幸啓となるなどこれまでにない形での実施となりました。本市で開催の「第72回全国植樹祭」は、8月にも開催日が決定される予定であり、主催者である滋賀県と連携を図りながら、市推進協議会や市民の皆さんとともに開催に向けて万全な準備を進めてまいります。
 次に、建設部所管事項つきまして、5月14日には信楽高原鐵道列車事故発生から30年目となる追悼法要が執り行われ、法要の前に慰霊碑に献花をさせていただきました。事故の犠牲となられた御霊に対し、この列車事故を風化させることなく、二度とこのような事故を起さないよう改めてお誓い申し上げました。
 また、名神名阪連絡道路では、5月24日に整備促進期成同盟会の総会をリモートで開催し、7月15日に東京都で予定しております建設促進大会に向け、各関係者の機運醸成に努めたところであります。引き続き国、県、関係自治体、議会および民間団体の方々と連携を強化し、早期の事業化に向け積極的な取り組みを進める所存です。
 次に、教育委員会事務局所管事項では、文部科学省の示す新たな教育施策として、令和4年度から小学校高学年で一部教科担任制が導入されますが、本市はこれに先駆け貴生川小学校の5・6年生を対象にこの4月から実施しています。
 学校からは、児童が新鮮な気持ちで授業に取り組んでいるとの報告もあり、さらに学びの環境が充実することを期待します。
 5月27日・28日には、県内で東京2020オリンピック聖火リレーが開催され、本市は2日目のスタートとして、水口スポーツの森陸上競技場から市役所までの2.2キロメートルを12人の聖火ランナーが駆け抜けました。新型コロナウイルス感染防止のため、出発式等の規模を縮小しての開催となりましたが、沿道警備をはじめ約300名のボランティアの皆様にご協力いただき、無事聖火をつなぐことがでました。
 また、信楽高原鐵道の第一大戸川橋梁が、国の文化審議会の答申を受け、重要文化財に指定されるはこびとなりました。この橋梁は、当時の最新技術を用いて昭和29年に完成され、今なお高い品質を保つ優れたコンクリート構造物となっています。今後、産業や交通、観光といったさまざまな分野と連携した文化財の活用を図っていきたいと考えております。
 以上、3月定例会以降における主な市政の動きについて、ご報告させていただきました。
 それでは、本日提案いたしますのは、報告案件3件、条例案件5件、補正予算案件1件、その他案件6件の合計15件です。
 よろしくご審議のうえ、ご賛同賜りますようお願い申しあげ、開会にあたりましての挨拶とさせていただきます。

令和3年6月4日            甲賀市長 岩永裕貴