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令和4年第1回 甲賀市議会定例会(3月)市長挨拶及び施政方針要旨

 

 皆様おはようございます。

 本年は例年になく雪の日が多い年となり、暦の上では立春を過ぎましたがまだまだ寒い日が続いており、何かと体調を崩しやすい季節でもあります。市民の皆様には、新型コロナなどの感染症対策としても、食事、運動、睡眠を通じて免疫力の高い体づくりに努めて頂きますようお願いいたします。

 それでは、本日ここに、令和4年第1回甲賀市議会定例会が開催されるにあたり、提案いたします議案のご審議を願うに先立ち、議長のお許しを頂きましたので、施政方針の一端と主要施策の概要を述べさせて頂きます。

 まず、新型コロナウイルス感染症につきましては、年明けより非常に強い感染力を持つオミクロン株が急拡大しており、市内でも新規陽性者が30人前後確認される中、市職員の感染も散見され、また、全国的な傾向にもあるように、子どもと高齢者の世代とに二極化して感染が拡大しており危機感を強くしております。市職員や保育所、学校や高齢者施設の現場には、さらなる感染予防対策や児童生徒への指導の徹底を指示しておりますが、改めて市民の皆様にも基本的な感染対策にご協力を頂きますようお願いいたします。

 こうした中、本市においては、昨年12月より3回目のワクチン追加接種を進めており、集団接種につきましても2月3日から水口体育館をはじまりに、甲南病院、信楽開発センターで順次開始をいたしております。医療関係従事者の皆様、ボランティア団体の皆様には過酷な状況の中で献身的にご協力を頂いておりますこと心から感謝を申し上げます。

 また、先の議会にてお認め頂きました、プレミアム付き商品券の発行やキャッシュレスポイントの還元キャンペーンなど本市独自の経済対策も着実に進めながら、市民皆様の健康と暮らしを守ることを第一に、引き続き各部局がしっかりと連携し、気を緩めることなく円滑な実施に努めてまいります。

 さて、令和4年度における国の一般会計予算案については、令和3年度補正予算と一体編成という位置づけで、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しつつ、政府が掲げる『成長と配分の好循環による「新しい資本主義」の実現』を目指すための予算とされています。

 団塊の世代が75歳以上となり医療や介護などの社会保障費が増加することから、総額にして107兆5,064億円、対前年度比0.9%増と10年連続で過去最大規模となり、4年連続で総額が100兆円を超えることとなりました。

 成長戦略として「デジタル」、「気候変動」、「科学技術・イノベーション」等の分野における取り組みを進めると共に、配分戦略においては看護、介護、保育分野の給与引上げによる処遇改善やデジタルなど成長戦略を支える人材育成などを政策パッケージにより推進するとされており、「モノ」から「コト」へと進む時代において「人への投資」を根本的に強化するとされております。

 また、今月8日に滋賀県が発表された令和4年度当初予算案におきましては、新型コロナ対策のほか、子育て支援やデジタル化、二酸化炭素の排出削減などと共に、「人づくり」を重要テーマに掲げられ、一般会計で過去2番目の規模となる6,440億円を計上されました。

 それでは、施政等の概要及び令和4年度甲賀市一般会計予算案についてご説明申し上げます。

 令和4年度は、第2次甲賀市総合計画の第2期基本計画の2年目であり、実施計画を踏まえ、いつもの暮らしに「しあわせ」を感じるまちの実現に向けてアフターコロナを見据え、変えるべきものと守るべきものを明確に選択しながら「新しい豊かさ」の創造により、未来への扉を開く重要な年度であると認識をいたしております。このことから、『オール甲賀で未来につなぐ「新しい豊かさ」へ 未来への扉予算』といたしました。

 新型コロナウイルス感染症から市民皆様の健康と暮らしを守ることを最優先事項とし、感染の拡大防止と経済活動の両立を図ると共に、地域、市民団体や民間事業者の皆様など多様な主体との公民連携を積極的に進めてまいります。

 あわせまして、これまでから注力をしてまいりました「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」の3つのテーマをさらに重点的に推進するよう引き続き取り組んでまいります。

 まず、「子育て・教育」におきましては、安心して子育てができるよう医療費助成の拡充をはじめ、子育て中の皆様に寄り添い地域の中で孤立することのないようきめ細かい支援に取り組むほか、コロナ禍においてさらに重要となった地域の皆様等との体験を通じた学びの機会づくりや、デジタルとアナログそれぞれの良さを活かした学習支援などにより逞しい人づくりに取り組んでまいります。

 次に「地域経済」においては、コロナ禍の影響により見えてきた多様な働く場所の確保と創出や、地域内経済の好循環への取り組みをさらに進めると共に、新たにアフターコロナを見据え本市の強みである地場産業や地場産品などの地域資源を活用し、地域経済や地域活性化への好循環を生み出す仕組みづくりに取り組んでまいります。

 次に「福祉・介護」においては、住み慣れた地域の中で、人と人、人と地域がつながり、誰一人取り残されることのない地域共生社会の実現に向け、今般のコロナ禍により顕在化した困難な課題を抱える市民に寄り添えるようさらに支援に取り組みます。

 また、「新しい豊かさ」を求める中で、病気ではないや弱っていないということを「健康」と定義付けをするのではなく、身体的、精神的、社会的に良好な状況にあることを意味する「ウェルビーイング」としてとらえ、市民の皆様一人ひとりがいつもの暮らしに幸せを感じるまちの実現を目指して取り組みます。

 加えて、総合計画の目標人口の達成に向けた移住定住の促進、第72回全国植樹祭の開催を契機とし、令和4年度を本市の豊かな森林を活かした脱炭素社会づくりにつながる「環境元年」として位置づけ、グリーン社会の実現に向けたカーボンニュートラルの推進や、地域の課題解決に向けデジタル技術を活用した地域デジタル社会の実現など将来を見据えた中で今取り組むべき施策を推進してまいります。

 特に、移住定住の促進につきましては、人生の節目において本市にゆかりのある同世代の若者がつながる機会づくりの支援など関係人口の増加を入り口に、移住者の受け入れに積極的な中山間地域をモデル地域として集中的に施策を展開しつつ、空き家の活用を含め住宅環境の整備や民間による住宅開発を誘導すると共に、働く場所の創出や女性の活躍を一層進めるために人材への投資を行います。加えて、定住に向けて、若者のまちづくりのアイディアを市政に反映できるよう機会を設けるなど本市への愛着やシビックプライドの醸成に努めます。なお、これら一連の取り組みを政策パッケージとして総合的に進めながら、マーケティングや戦略的な広報に通じた民間人材の活用によるシティプロモーションによりシナジー効果を生み出してまいります。

 これにより、令和4年度の甲賀市一般会計の当初予算総額は、対前年度比4.1%増の413億円といたしました。

 それでは、「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」の3つのテーマに沿った主要事業について順次その概要を申し上げます。

 「子育て・教育」の分野では、子育て世帯の負担を軽減し安心して医療機関にかかれるよう、中学3年生まで医療費を完全無料化とするほか、新生児が誕生された世帯に見守りを兼ねて訪問し、おむつなどの育児用品や子育て情報等をお届けすると共に、悩み事や困り事の相談を受けるなどの支援を行います。

 また、多様な保育・幼児教育ニーズに応え、より良い保育環境を提供できるよう甲南地域の保育園3か所を統合する、新たな私立認定こども園の整備に着手し、伴谷統合認定こども園や信楽保育園及び幼稚園の整備を進めると共に、保育士等の人材確保のため、奨学金の返還や家賃等への一部補助や、病児及び病後児保育のさらなる体制強化を図ります。

 さらに、利用児童数が増加している放課後児童クラブでは、甲南なかよし、水口、伴谷、大原の各児童クラブの整備を進めます。

 教育関係では、児童生徒の学力や学習状況を把握・分析するため、甲賀市版学力調査を実施するほか、小中学生の全員を対象に、AIが個々に応じた効果的な学習内容を提供する学習ドリルの導入や、放課後児童クラブでの学習支援により学力向上を目指します。

 施設面では、学校生活を安全に安心して過ごせるよう、土山中学校の長寿命化改修や、著しく老朽化が進む信楽小学校の改築事業への着手、通学路への防犯灯設置を重点的に進めます。さらには、ストリートスポーツができる空間など、時代の多様なニーズに合った公園のリニューアルに向けた「みなくち総合公園再整備基本計画」を策定いたします。

 次に、「地域経済」の分野では、先ほども触れましたが、第72回全国植樹祭の開催を契機とし、脱炭素社会づくりにつなげる「環境元年」として位置づけると共に、仮称でありますが「カーボンニュートラルシティ宣言」を行うことといたします。この宣言を実効性あるものにするため、エネルギーの地産地消や二酸化炭素の排出量削減に関する「地球温暖化対策実行計画」を策定いたします。

 また、企業活動により排出される二酸化炭素量を、市内の森林で吸収する二酸化炭素量とオフセットするJ-クレジット制度を活用した新たな森林整備への財源創出や、生ごみ堆肥と、現在、焼却処分を行っている下水道の汚泥を合わせて肥料を作ることで資源循環の高度化を図るなど、本市の特性を活かした脱炭素社会づくりを行います。

 商工労働関係では、さらなる女性活躍の推進に向けて、民間施設を活用した女性によるチャレンジショップ開催の支援や、コロナ禍で離職を余儀なくされた方、障がいのある方、就職氷河期世代で正規雇用の機会に恵まれなかった方へ就労支援など人材の育成・確保に取り組み、本市の「ものづくり」を一層強固なものとできるよう支援すると共に、個々の能力が発揮できる環境づくりを進めます。

 また、新たな取り組みとして、地域内に点在する複数の遊休施設を官民連携によりクリエイター等の短期・中期の滞在施設としてリノベーションし、包括的な活用ができるよう検討を進めてまいります。

 観光関係では、コロナ禍で大きな影響を受けた観光関連事業者を支援するため、市外からの誘客促進に対する補助金の拡充や、新たな観光需要に対応するため、事業の多角化や新商品の開発に取り組む事業者を支援いたします。また、スカーレットレガシーを活かした窯元散策路の面的な再整備や、本市東の玄関口にある観光拠点「道の駅あいの土山」の整備と運営体制の強化により周辺地域の活性化を図ります。

 農林業関係では、滋賀県で開催される第74回関西茶業振興大会の運営を支援すると共に、茶農家の出品を支援しリーフ茶の需要拡大、市内の茶業振興につなげてまいります。また、甲賀市産農作物の地産地消と食育を推進し、質の高い学校給食を提供するため、材料購入にかかる経費の充実を図るほか、農作業の省力化や効率化等を進め新規就農者の確保につなげるため、ドローンやラジコン式草刈り機などを活用するスマート農業の導入を支援します。

 また、全国植樹祭を契機に、子どもの育つ環境に木製おもちゃなどを取り入れ、木材や木製品を身近に触れることを通じて、木の良さや利用の意義を学んでいただく「木育」や、持続的な森林整備など「やまの健康」を担っていただける人材育成の支援、また、公共施設の改修等には甲賀市産の木材利用を促進してまいります。

 土木関係では、公共交通の結節点であり人口集積が期待される貴生川駅周辺整備事業におきまして、民間人材の協力のもと、地域の皆様や民間事業者等と議論を重ねながら、基本構想の策定や社会実験に取り組むと共に、この事業の一環として、虫生野北部地区の土地利用を検討いたします。加えて、虫生野東部地区や寺庄南部地区における土地区画整理事業の調査等を実施いたします。

 また、道路の維持管理では、ご要望も多くいただいております除草作業につきましては、地域間を結ぶ交通量の多い幹線道路や通学路などの危険個所の除草作業を拡充するとともに、今後の維持管理方法について地域の皆様や関係機関等と検討を行ってまいります。

 次に、「福祉・介護」の分野では、安心して出産を迎えられるよう、妊婦検診にかかる費用を全額補助すると共に、コロナ禍でも妊娠期間を安心して過ごしていただけるよう感染症対策物品の購入や健診の際の移動経費を支援するほか、不妊治療においても安心して継続いただけるよう感染症対策物品の購入費を支援してまいります。

 ごみを集積所まで運ぶことが困難な高齢者や障がい者世帯への支援や、要支援者名簿に基づく個別避難支援計画の作成を促進するため補助金を交付するほか、ヤングケアラーの支援体制を整備するため、市内小中学生を対象とした調査を行いまずは実態の把握を行います。

 また、健康寿命の延伸に大きな役割を果たす運動の習慣化について、民間企業との連携によりオーダーメイド型の運動教室を開催いたします。

 加えて、デジタル技術の活用による地域課題の解決が注目されており、本市においても高齢者向けのスマートフォン教室への人材派遣や、市内医療機関における遠隔診療等を進めるための通信機材の導入への支援、介護予防や地域の支えあい活動での情報を一元化し生活支援サービス提供への活用や、地域コミュニティ活動におけるICT導入を推進するための調査などに取り組みます。

 この他にも、地域の安全、安心に欠くことのできない消防団の人材を確保するため団員の処遇改善を行うことや、生涯学習の拠点である水口中央公民館の再整備、地域の宝でもある信楽地域の東山遺跡を適切に保存し、将来に継承するために必要な措置を講じてまいります。

 以上、令和4年度一般会計当初予算の主な事業についての説明とさせていただきます。

 さて、人口減少や少子高齢化が、地方自治に大きく影響を及ぼす中、長期間にわたり先行きの見えない今般のコロナ禍が様々な課題を顕在化させたことで、基礎自治体である本市はかつて経験したことがない難しい状況に直面しています。また、市民の皆様にとって身近なコミュニティにおいても、住民主体による地域活動への負担が高まるなど年を追うごとに地域の運営は困難になりつつあると認識しております。

 この難局を乗り越えて、住み慣れた地域で「いつもの暮らし」を守り続けるためには、地域と行政とのさらなる連携により新たな仕組みづくりに取り組む必要があると考えます。このことから、概ね小学校単位に組織されている自治振興会を対象に市職員が出向き、地域の皆様との対話による合意形成を踏まえ、地域ごとの課題解決に向けた方向性を示した地域の将来展望、地域別グランドデザインの構築に取り組んでいくことといたしました。

 この地域別グランドデザインの取り組みはこれに関わる職員のみならず全庁的な取り組みであり、持続可能な地域づくりの先駆的なモデルとなるよう気概をもって取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、本日提案いたしますのは、報告案件3件、新年度予算案件10件、条例案件11件、補正予算案件3件、その他案件6件の合計33案件です。

ご審議のうえ、ご賛同賜りますようお願い申しあげ、開会にあたりましての挨拶とさせていただきます。

 

 

令和4年2月17日        甲賀市長 岩永裕貴