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令和5年2月10日 市長記者会見

〇あいさつ・情報提供

【市長】

 改めましておはようございます。

 大変お忙しい中、お集まりをいただき誠にありがとうございます。

 先般からの大雪に甲賀市も見舞われ、除雪対策また水道管の破裂等、様々な影響が出たところでありますが、地域の皆様方やまた職員の頑張りもございまして、何とか滞りなく、大きな混乱なく対応できたことを改めて感謝申しあげたいと思います。

 新名神高速道路の通行止めでは、約28時間にわたり大渋滞が起きたということでありましたが、同時に国道1号の方も国と連絡を取りあい、通行止めというような判断をさせていただき、市内には大きな混乱がなく、少し安堵しておりますが、高速道路等の対応につきましては、国とも情報交換をし、今後の改善に向けて取り組んでいかなければならないと考えております。

 また新型コロナの感染につきましては、1月中旬以降はようやくピークを過ぎ減少に転じており、そうした中で、政府におかれましても5月8日を目途に季節性インフルエンザと同等の5類へ引き下げる方針が示されておりますが、ワクチン接種や医療費の公費負担、またマスクの着用やイベントの収容規制などの市町村の役割というものがまだまだ不明確であります。市としても国また県の動向を注視しながら対応していかなければならないと考えております。

 さて、昨年末の「瀧樹神社のケンケト踊り」がユネスコの無形文化遺産の登録をいただいたことに続き、1月20日には「甲賀のくすり」のうち、売薬の製造や販売で使われていた用具2,488点が、国の登録有形民俗文化財に新たに登録される見通しになりました。なお、種別としては「交易に用いられるもの」に位置づけられ、日本初第1号の登録となります。

 製造につきましては甲賀市の大変重要な地場産業であり、今回の登録は、本市の産業分野にとっても大きな意義ある出来事であります。

 この登録をきっかけに、さらに、薬のまち甲賀に関心を持っていただけるよう、保存伝承の強化はもちろんですが、これまでの歴史とともに、産業振興、そしてまた観光振興につなげてまいりたいと考えております。

 加えまして、この2月は忍者月間であります。現在、甲賀流リアル忍者館では「モンスターハンターシリーズ」との期間限定コラボレーションイベントを開催させていただいております。2月4日と5日の2日間で約1,000人にご来場いただくなど、特に週末には多くの人でにぎわっているとお伺いしております。

 本市の観光振興にさらに繋がっていくこと、また新しいターゲット層の獲得にも大きな役割を果たすと考えております。

 それでは少しお時間をいただきまして、3月の定例会の議案についてご説明させていただきます。

 内訳につきましては、報告案件が3件、新年度の予算案件が10件、条例案件が11件、補正予算が5件、その他案件9件の合計38件を提出させていただきます。

 私からお手元の資料、令和5年度一般会計当初予算に基づき、そのポイントについて説明申しあげます。

 まず令和5年度の一般会計当初予算(案)は、本市の第2次甲賀市総合計画の第2期基本計画の3年目にあたりますが、実施計画を着実に実行していくとともに、エネルギーや物価の高騰による社会・経済的な影響から、市民生活をしっかり守っていくことに加えまして、アフターコロナを見据えた「新しい豊かさ」へのチャレンジを行ってまいります。

 まず資料の3ページ目になりますが、一般会計の予算規模は439億円で、対前年度比では26億円の増、比率にしまして6.3%の増となっております。

 その主な要因としましては、脱炭素社会の実現に向けましたGX(グリーントランスフォーメーション)の推進や、デジタル技術を活用した市民サービスの向上、本市の未来を担うこども・若者への支援などの充実や、医療・介護施設の抜本的な経営改善、福祉・教育施設の整備等に関する経費になっております。

 また、新型コロナウイルス感染症やエネルギー・物価高騰対策のほか、市民の身近な課題解決にも取り組みつつ、これまで申しあげてきました「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」の3つのテーマに沿った事業を重点的に推進する予算となるよう編成に取り組むこととあわせて、2025年大阪・関西万博に向けたブランド発信の支援や、国スポ・障スポ大会を成功に導くための準備、移住定住の更なる推進、創意工夫と柔軟な発想のもとに、新たな視点で事業構築に積極的にチャレンジする実証実験事業というものも計上いたしました。

 次に歳入につきましては、資料の5ページから7ページになります。

 市税では、市民税のうち個人市民税において、景気の持ち直しの動きがみられることから、前年度よりも増収となる46億900万円、法人市民税においても、経済活動の回復を勘案し、令和4年度決算見込みをもとに、前年比6%増の13億8,200万円を計上しております。市税全体では3.1%の伸びとなりました。

 地方交付税については、普通交付税において、県の試算や税収の伸びを勘案し、前年度より6億円の減額を見込み、全体で83億円を計上するものであります。

 また、市債について、合併特例事業債では、公民館施設整備事業や、放課後児童クラブ施設整備事業などの大幅な増加により、市債全体では、対前年度比74.8%増の34億8,520万円となっております。

 続いて、歳出につきましては、資料の17ページからとなります。

重点的に取り組む「新しい豊かさへのチャレンジ」に関する主な事業についてご説明いたします。

 まず「子育て・教育」では、世代間の貧困の連鎖を解消するため、生活保護世帯のこどもの大学等への入学試験受験料を補助することにより、こどもが将来に向けて、より多様な職業選択ができるよう支援するほか、「遠距離通学支援」では、集団下校ができないなど、徒歩の下校では安全確保が難しいとされる児童の通学費に対し、補助対象の拡大を実施いたします。

 また保育園などにおける使用済みの紙おむつにつきましては、これまで保護者に持ち帰っていただいておりましたが、各保育園等で処分することにより、保護者や保育士の負担軽減を図り、また「ファミリーサポート利用支援」では、利用料金の見直しと援助活動への助成を実施し、保護者の仕事と育児の両立を支援いたします。

 さらには、甲賀市産の木材で作られました木のおもちゃを新生児とその家族へプレゼントするウッドスタートを開始するほか、企業や事業者と連携し、子育てに関する困りごとなどの軽減や解決への取り組みを支援する「子育て応援企業マッチング支援業務」にも取り組んでまいります。

 引き続き、地産地消による食の安全や質の高い給食を提供し、物価高騰時におきましても、給食費を値上げすることなく、保護者の負担軽減を図るとともに、こどもたちの健やかな育ちを応援してまいります。

 施設関連では、「水口スポーツの森整備」として、老朽化しております管理棟、プールを解体し、新たに屋内遊戯施設の整備を行い、利用者の利便性の向上につなげたいと考えております。

 また、こどもたちにより良い保育・教育環境を提供するため、甲南認定こども園や、水口児童クラブなどの整備にも取り組むこととしております。

 老朽化しております水口中央公民館につきましては、多文化共生の推進機能などを加えた複合施設として再整備します。

 また、国の登録有形文化財であります土山宿本陣跡玉座棟を東海道土山宿のシンボルとして公開、今後活用していくため、文化財としての価値を確保しながら行う改修事業に対して補助を行ってまいります。

 次に18ページの「地域経済」では、カーボンニュートラルの実現とともに、環境と経済・社会活動が調和した持続可能なまち「環境未来都市」の創造に取り組むほか、市内企業様にも積極的にGXの推進に取り組んでいただけるよう、普及啓発を推進し、市内での再生可能エネルギー導入の可能性調査を実施いたします。

 また豊かな里山づくりを推進するために、管理されていない里山の危険木や雑木の伐採等を実施し、協定を結ばせていただいた区・自治会に管理していただくほか、「甲賀の茶ブランド化研究調査」では、土山茶、朝宮茶それぞれの産地の特性を活かしたブランド化を図るとともに、肥料や飼料の価格高騰の影響を受けている農産物の販売農家や畜産農家への支援を実施してまいります。

 また、仮称でありますが「甲賀の食博覧会」では大阪・関西万博に向け、本市の地域資源と多様な食材を結びつけるイベントの開催を通じて、魅力発信や地域経済の活性化を図ってまいります。

 次に、ウイズコロナにおける新しい観光の形としまして、マイクロツーリズムが注目をされる中で、本市における周遊型観光事業の充実を図るために、「観光動向調査」を実施いたします。

 また、「JR草津線利用促進事業」では、JR西日本と共同プロジェクトである「おためし暮らし」や、利便性向上調査、小学生の社会見学や地域行事で利用する場合の運賃補助などを実施してまいります。

 主な施設整備では、市道古城御茶園線の整備により、水口地域の空閑地における住宅整備を促進し、定住人口の増加を図ってまいります。

 このほか老朽化が進みます「道の駅あいの土山」の再整備や、運営組織の強化、地域拠点である貴生川駅周辺における都市機能の集積や都市空間の最適化を図るほか、甲南駅の周辺整備に取り組んでまいります。

 次に「福祉・介護」になります。「居場所の創出応援事業」では、社会的孤立のない地域づくりや、受け手と支え手を超え、人と人がつながっていく地域共生社会を推進するとともに、「青少年不登校ひきこもりサポート」では、義務教育を終了した発達に課題があるこどものひきこもりや不登校にかかる相談窓口を一本化し、スムーズな支援につなげるほか、「就労支度金補助事業」におきましては、ひきこもり状態であった方が一般就労を目指せるよう、就労支度金助成による支援を行ってまいります。

 また、発達に課題のある児童の子育てを経験した保護者が「ペアレントメンター」となり、学習会等の場で子育て中の保護者を支援することで、孤立せずに子育てができる環境を整えるほか、「若者の自殺予防対策」では、若者が利用しやすい居場所づくりや個別相談を実施し、孤立予防やメンタルヘルスの向上を図るとともに、LGBTQ+(プラス)の方や家族、友人が抱える悩みや生きづらさなどに対する支援を目的として、専用の電話相談窓口を開設いたします。

 さらには、妊娠期から誰一人取り残すことのない出産・育児支援制度であります、「こうか版ネウボラ体制」の構築に取り組むとともに、市内医療機関の看護職員や看護専門学校の学生確保を多角的に支援することにより、地域医療体制の維持・充実を図ってまいります。

 また、実証実験事業として、区・自治会の集会所へのインターネット環境整備の促進や区長文書データ配信を実施するともに、各種証明書の発行や転入・転出等の異動におきまして、手続きの簡略化や時間短縮を図るために異動届の記載に代わる「書かない窓口」の導入を検討してまいります。

 以上、令和5年度の一般会計当初予算の主な事業についてご説明させていただきました。詳しい点につきましては、この後、担当から説明を申しあげます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

〇担当より情報提供

(1) 令和5年度予算案について

 

○質疑応答

≪記者≫

 前年度比で増ということですが、今回の当初予算はどれぐらいの規模になるのでしょうか。

【担当】

 過去最大になります。

≪記者≫

 合併特例債事業で、水口中央公民館の事業はかなり大きいと思いますが、工事スケジュールについて教えていただけますでしょうか。

【担当】

 隣接する旧水口体育館を解体し、現在更地となっていますが、その場所に令和5年度新たな中央公民館を建築し、年度末の完成を予定しています。また、現在の水口中央公民館については、令和6年度に解体する予定です。

≪記者≫

 実証実験事業について、掲載されている事業を選んだ理由、また事業のイメージとして、1つの事業を例に、どのように進めて、その後続けるのか続けないのかをどのように判断していくのかを教えていただけますか。

【担当】 

 実証実験事業については、職員からいろいろな内容が出されましたが、現実性のあるものという観点でも選別させていただいております。また事業のイメージとして、例えば、「オンライン合意形成プラットホーム」というのがありますが、まちづくりには市民の意見を取り入れることが大前提であり、今までは対面や手紙などにより、参加できる人しか意見を言えなかったところがあります。今後はオンライン上で、家でも、また時間の空いているときにでも、より多くの人と対話をさせていただきながらまちづくりを進めたいという思いがあり、まずはやってみるということで計上させていただいております。

≪記者≫

 上手くいけば来年度も続ける、また上手くいかなかったら来年度でやめる、そういうイメージで良かったでしょうか。

【担当】 

 常に事業の再構築というのは考えながら予算化させていただきますので、やはり上手くいけば、増額、予算計上というようになりますし、そうでなければ、事業構築をしっかりできるよう進めてもらうという形になります。

【市長】

 実証実験事業に掲載されているものは、どれも以前から職員の中では課題として持っていた事業ばかりです。例えば、「行政情報の戸別配布」というのも、新聞の折り込みやデジタル化もしてはいますが、すべての市民の皆様方に行政情報がなかなか行き届かないなど様々な課題があったり、また「書かない窓口」では、出先機関と本庁の書類のやりとりなど、この書かない窓口が本当に機能するのかどうか、課題を挙げればたくさんあったのですが、いずれやらなければならないものについては、まずやってみて、そこから改善をしていく。そこにニーズがなければ、一旦立ち止まって、もう1回考えるということになります。

 掲載している実証実験事業については、必要性は感じていたのに、課題が先行し過ぎて取り組めなかったところでありますので、まずやってみて、走りながら改善を加えていくというような方向性で何とか身のある事業にしていきたいという、他の事業とは違う挑戦的な項目という位置づけにさせていただいています。

≪記者≫

 改善を加えていくというのは、年度途中で、ここを加えたらもう少しということがあれば、また予算が増額になるなど、そういうこともイメージされているのでしょうか。

【市長】

 例えば書かない窓口では、どこまで市民の皆様方に手をわずらわせることなく、書類の発行等ができるのかについて、まだ中身が確定できていない事業でもあります。どのようにしていくのか職員が考えながら導入していくことになると思います。実証実験事業は、前に進めなければならない事業ばかりですので、さらに改善が必要であれば増額してしっかり構築していく可能性は十分にあると思います。

≪記者≫

 事業の中で、県内初であるとか、県内でも珍しい取り組みというのはありますか。

【担当】 

 現時点で、例えば県内初であるという観点で調査はできておりません。ただ、「福祉・介護」における、ひきこもりサポートでは、健康福祉部がひきこもり対策について重点的に取り組んでいこうと各部署から課題抽出をし、事業化したものですので、本市が令和5年度に力を入れてやっていこうというところであります。

 また、看護師確保対策では、看護師不足という現実的な課題を解消する目的もありますが、看護学校の方にまず入学してもらうということからも対策をしていきますので、その辺りについては珍しい事業ではないかと考えています。

【市長】

 今、いただいた質問は本当に大切なご指摘だと思いますので、整理して記者の皆様方に情報提供させていただきたいと思います。

 今のところ、私の感想ではありますが、まず給食の質の向上というのは、かなり甲賀市は先んじて取り組んでいるというように思います。無償化の議論ばかりが出ますが、こどもの丈夫な体を作っていくために安心安全な食材を約7,000万円以上、上乗せをして提供しているというのもぜひ注目をしていただきたいというように思います。また、遠距離通学費の支援について、バスで通っているこどもたちは、基本、国の基準では4キロ以内のこどもたちは徒歩ということになっていますが、単独で集団登下校ができない遠距離のこどもたちには路線バスを使って学校に通ってもらうこともそうだと思いますし、大学の受験料を補助するということも、あまり他の市町では今のところ伺ったことがないということもあります。  

 また、リスキリングによるキャリアアップ支援ですが、特に製造品の出荷額等が15年連続1位で、製造業が集積している甲賀市においては特徴的な事業だというように思っています。各企業や従業員の生産性の向上をどのように図っていくのかについては大変大きな課題を持っておられますので、新たな資格、また新たなスキルを身につけていただく、そうした起業支援というのは、甲賀市ならではないかというように思います。

 加えて、大阪関西万博との関わりというのは、おそらく県内市町の中ではかなりスピード感をもって対応していると思います。他の自治体では、おそらく大阪関西万博で実際にどのような連携を図っていくのかというところが不透明だと思いますが、甲賀市は昨年からも経済産業省の制度を活用し、予算をいただきながら、この万博に向かって着々と準備を進めておりますので、おそらく他の市町よりも先んじて、取り組んでいるという自信があります。

 最後ですが、医師会からも非常に大きな評価をいただいています、こうか版のネウボラ体制構築であります。課題のある人に担当制で保健師が寄り添って、課題を解決していくという、本当にきめ細やかな誰一人取り残さない、地域社会の実現には必要不可欠な取り組みだというように思っております。甲賀市も先駆けて福祉・介護の中で構築している事業ではないかというように考えております。

                                                         以上