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令和5年第1回甲賀市議会定例会(3月) 施政方針要旨

 皆様おはようございます。
 本市に春の足音を告げる田村神社の厄除け大祭が明日より執り行われることとなり、寒さの中にも春の訪れを感じる季節となってまいりました。
 さて、本日ここに、令和5年第1回甲賀市議会定例会が開催されるにあたり、提案いたします議案のご審議を願うに先立ち、議長のお許しをいただきましたので、施政方針の一端と、甲賀市一般会計予算案及び主要事業等の概要について述べさせていただきます。
 まず、新型コロナウイルス感染症につきましては、ご案内のとおり、政府は5月8日を目途に季節性インフルエンザと同等の「5類」へ移行する方針を出されたところであります。現在のところ、公費負担の動向や基本的対処方針など具体的な対応は明らかになっておりませんが、いずれにしましても大きな方向転換となることから、引き続き注視しながら、市民の皆様に情報発信をはじめしっかりと対応してまいります。
 また、1月24日から25日には、この冬一番の寒気により市内も全域で大雪となり、小中学校の休校、交通障害や凍結による水道管の破損等が発生いたしました。市民生活にも広く影響を受けましたが、事前の注意喚起や、市民皆様の除雪や節水などのご協力により、大きな混乱を生じる事態には至りませんでした。改めてご協力いただきました皆様に心より感謝申しあげるものです。
 さて、令和5年度、国の一般会計予算案につきましては、総額にして114兆3,812億円、対前年度比6.3%増と11年連続で過去最大を更新しております。予算案のポイントとしましては、新型コロナ対策重視から経済成長に向けての舵を切り、脱炭素技術の開発やデジタル化の推進とともに、4月のこども家庭庁の創設にあわせ、子ども・子育て支援に重点が置かれた予算となっています。
 また、8日に発表された滋賀県の一般会計当初予算案については、子ども・子育て支援をはじめ、国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会関連、「健康しが」の実現に向け、県産茶葉に健康機能を持たせる技術開発などの健康づくり事業など社会活動の再開に重点をおき6,582億5,000万円を計上されたところです。
国・県においても「子ども」が最重要のキーワードとなっております。これまで子育て支援に積極的に取り組んできた本市としても注目しており、新たな特定財源の確保などにしっかりと取り組んでまいります。
 それでは、施政方針、一般会計予算案及び主要事業等の概要についてご説明申しあげます。
 2020年からはじまった新型コロナウイルス感染症との戦いは3年余りの年月が経過しました。この間、社会経済活動は大幅な制限を余儀なくされ、その中で社会は大きく変わり、人々の考え方や価値観などにも大きな変化をもたらしました。
 このような変化の中においても、新たに求められるニーズを的確に捉え、本市がこれまで注力してまいりました3つのテーマ「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」に一層磨きをかけて、ようやく見えてきたアフターコロナにおける「選ばれるまちづくり」に向け、創意工夫と柔軟な発想のもと、積極果敢に挑戦していくことが必要であります。
 このことから、まず「子育て・教育」分野においては、子どもを生み、育てやすい地域社会の実現をめざすべく、子どもや子育て世代当事者の視点を大切にし、市民が求める保育・幼児教育ニーズに応えると共に、従来の制度の壁を克服したきめ細やかで、切れ目のない支援の充実を図ります。
 また、本市教育大綱に掲げる教育方針「たくましい心身と郷土への誇りをもち、未来を切り拓く人を育てる」ため、子どもから高齢者まで年齢に関係なく自分らしく自己実現が叶えられるよう学びを支援します。
 次に、「地域経済」分野では、豊かな自然、長い歴史や文化とその中で培われた地場産業などの地域資源、また、新名神高速道路をはじめとする道路網や地理的な優位性などの本市の強みを最大限有効に活用し、農林業をはじめ、観光や商工業の振興を図り、地域内経済の好循環を生み出し、将来にわたり安定的な税収を確保してまいります。本市の持つポテンシャルの高さに加え、空き家の活用や貴生川駅周辺整備、公共交通の利便性向上をはじめ各種施策を効果的に掛け合わせ移住定住を促進し、総合計画に定めた目標人口を達成するよう取り組んでまいります。
 また、「環境未来都市」の実現に向けて、豊かな森林資源等を活かした本市ならではの脱炭素社会に向けたGXの推進を図ってまいります。
 次に「福祉・介護」分野においては、社会経済状況が大きく変化し続ける中、複合・複雑化した支援ニーズに持続可能な対応が必要となっています。そのため「誰一人取り残さない」という究極の理念を基に、直面する課題に迅速かつ包括的な支援を行うため、高齢者、障がい、困窮など属性を問わない相談支援、参加支援、また地域づくりを一体的におこなう「重層的支援」に、制度や組織の壁を超え「オール市役所」で取り組みます
 誰もが住み慣れた地域のなかで、「人がつながり、地域がつながり、そして社会がつながり」、市民一人ひとりがいつもの暮らしに幸せを感じるまちの実現をめざして取り組んでまいります。
 次に、本市の一般会計予算案の概要についてであります。
 令和5年度一般会計予算案は、本市の第2次甲賀市総合計画の第2期基本計画の3年目となり、実施計画を着実に実行すると共に、高騰が続くエネルギーや物価による影響から市民生活を守り、いつもの暮らしに「しあわせ」を感じる、まちの実現に向けた「新しい豊かさ」の創造を推進する予算といたしました。
 具体的には、脱炭素社会の実現に向けたGXの推進、行政手続きをはじめ事務の効率化を進めることで、市民一人ひとりの状況に応じたきめ細やかな相談等を行うためのDXの推進、産業の持続可能な発展を目指すと共に、本市の未来を担う子ども・若者への支援等の充実や、福祉・教育施設の整備、医療・介護施設の抜本的な経営改善等に取り組みます。
 また、2025大阪・関西万博に向けたブランド発信の支援や、第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会を成功に導くための準備と共に、移住定住の更なる促進や、創意工夫と柔軟な発想で事業構築に積極的にチャレンジする実証実験事業を計上いたしました。
 その結果、一般会計の予算規模は439億円で、対前年度比では26億円の増、比率にしまして6.3%の増となりなりました。
 次に、主な事業につきまして、その概要を申しあげます。
 まず、「子育て・教育」では、県内初の取り組みとして、生活保護世帯の子どもの大学等の入学試験受験料を補助し、本人が望む将来設計の第1歩が踏みだせるよう支援し、世代間の貧困の連鎖を解消につなげるほか、「遠距離通学支援」では、徒歩による通学方法では安全面に不安のある児童に対し、通学補助の対象を拡大します。
 保育園等で使用した紙おむつについては、これまで保護者に持ち帰っていただいておりましたが、各園で処分することで、保護者と保育士の双方の負担軽減を図るほか、園児の見落とし等による事故を防止するため、保育支援員の配置補助を新設いたします。また、保護者の仕事と育児の両立を支援する「ファミリーサポートの利用支援」では、利用料金の減額に加え、サポート提供者へは市が増額してお支払いをします。
 甲賀市産の木材を使った木のおもちゃを新生児とその家族へプレゼントする県内初の「ウッドスタート事業」では、子育て中に木に触れる機会を提供し、木の良さや環境への関心を深めます。学校等の給食では、引き続き、地産地消による食の安全と質の高い給食を提供しながら、物価高騰分を値上げすることなく保護者の負担軽減を図るほか、「まるっと食育推進プロジェクト」ではバランスの取れた食生活や食文化の継承、さらには口腔ケアについて啓発を行い子どもの健やかな育ちを応援します。
 主な施設整備では、老朽化している水口スポーツの森の管理棟及びプールを解体し、新たに雨天時にも子どもが体をいっぱい使って楽しめる施設整備を行います。
 また、水口中央公民館では、新たに多文化共生社会の推進や気軽に若者が集える居場所などの機能を加えた複合施設として整備を行うほか、碧水ホール空調設備の改修などを実施いたします。
 また、信楽小学校は、保育園等を含め文教ゾーンとしての整備に着手するほか、民間認定こども園への整備補助、利用者が増加している放課後児童クラブの整備を行います。加えて、国登録有形文化財に登録された土山宿本陣跡玉座棟を東海道土山宿のシンボルとして公開し活用ができるよう改修費用への補助を実施いたします。
 次に「地域経済」の分野では、「環境未来都市」創造の実現に向けて本年度から着手しております地球温暖化対策実行計画の策定を行うほか、オール甲賀でGXの推進を図るため市内企業への普及啓発を進めると共に、Jクレジット制度の認証、再生可能エネルギー導入の可能性調査や、市役所公用車に電気自動車を導入してまいります。
 また、豊かな森林や里山づくりのため、高性能林業機械やICT機器の導入による「スマート林業推進事業補助」により、業務の効率化や環境負荷の低減を進めるほか、協定を結んだ区・自治会に整備後の里山の管理委託を行います。
 土山茶、朝宮茶それぞれの産地特性を活かしたブランド化を図るとともに、獣害対策では、捕獲と防除の両面での取り組み強化のほか、肥料や飼料の価格高騰の影響を受けている農家への支援を行ってまいります。
 市内企業へは、県内初となる「リスキリングによるキャリアアップ支援」により、社員へのリスキリングへの経費の一部を補助し、人材への投資を促すとともに、女性起業家への応援を通して、地域全体のビジネスの活性化をめざすため、「地域クラウド交流会」を開催してまいります。
 地域経済や活性化に大きなインパクトとなる大阪・関西万博の開催に合わせ、本市の地域資源と多様な食材を結びつけるイベント「(仮称)甲賀の食博覧会」の開催や、「2025大阪・関西万博地域プロデュース業務委託」では、ジャンルにとらわれない多様な自己表現を認め合える地域社会のムーブメントを生み出すため、市民、企業やNPOなどの多様な主体とともに機運醸成に取り組んでいきます。
 また、空き家・空き店舗などの有効活用により地域の魅力を高め、クリエイティブ人材の移住を促進するため、信楽地域において「官民連携エリアリノベーション手法検討調査業務」を実施します。ウイズコロナにおける新しい観光の形として、マイクロツーリズムが注目される中、周遊型観光事業の充実に向け「観光動向調査」の実施や、本市の地場産品の消費拡大を図るため、国内の宿泊施設に対し、これらの購入補助を実施します。
 また、「空家等対策事業」では、企業や業界団体等との連携による、空き家等の発生予防や活用、適正管理について総合的な対策に取り組むほか、「JR草津線利用促進事業」では、JR西日本との共同プロジェクトである「おためし暮らし」や、利便性向上調査などを行ってまいります。
 主な施設整備では、「市道古城御茶園線」の整備により、水口地域の空閑地での住宅整備促進と定住人口増加を図ります。加えて、老朽化が進む「道の駅あいの土山」の再整備と運営組織の強化、貴生川エリアプラットフォーム等ともに進める官民交流拠点施設基本計画や、集落間の道路における除草等では、本年度に引き続き十分な予算確保行い実施すると共に、工業団地内に立地いただいている企業の操業環境の向上にむけた市道の舗装などきめ細かい維持管理に努めます。

 最後に「福祉・介護」分野については、県内初となる「居場所の創出応援事業」では、社会的孤立のない地域づくりや、「受け手」と「支え手」という関係性を超え、人と人とがつながる地域共生社会を推進すると共に、「青少年不登校ひきこもりサポート」では、引きこもりや不登校にかかる相談窓口を一本化しスムーズな支援につなげるほか、ひきこもり状態の方が一般就労を目指せるよう、資格等の取得にかかる経費や、就労支度金助成等により支援し社会的自治へつなげていきます。
 障がいのある方など情報弱者に日頃から接する支援者等に、スマートフォンに対する知識や技術の研修を行い「スマートフォン相談員」として活動いただくことで情報のバリアフリー化を図ります。なお、本事業も県内初となります。
 また、発達に課題のある児童の子育てを経験した保護者が「ペアレントメンター」となり、学習会等において保護者を支援し、孤立しない環境を整えます。「若者の自殺予防対策」では、若者が利用しやすい居場所づくりや個別相談を開催し、孤立予防やメンタルヘルスの向上を図るほか、LGBTQ+の方本人や、その家族が抱える悩みや生きづらさへの支援を行うため、専用の電話相談窓口を開設いたします。
 さらには、「結婚支援事業」では、結婚支援員による相談や出会いの場の創出、婚姻による新生活の住居費などを支援するほか、妊娠期から誰一人取り残すことのない出産・育児支援制度である「こうか版ネウボラ体制」の構築や、看護職員や看護専門学校の学生の確保を図るため、住居補助や復職者支援などの多角的な支援を展開する取り組により、地域医療体制の維持・充実を図ってまいります。
 加えて、介護老人保健施設「ケアセンターささゆり」の閉所に伴う地方債の繰上償還に要する予算を計上すると共に、職員の処遇については、積み上げたスキルを活かせるよう、適切な人員配置に努めてまいります。
 新たな試みとして、課題に対しスピード感を持って、チャレンジしてみるという考えのもとに取り組む実証実験事業では、区・自治会の集会所等においてインターネットの環境整備を促進すると共に、区長文書のデータ配信について実証実施するほか、各種証明書の発行や転入や転出等における申請書記載を不要する「書かない窓口」を導入し、手続きの簡略化と時間短縮、窓口の混雑解消を図ってまいります。
 その他の項目では、目指す市職員像の実現に向け、身近な課題や部局をまたがる課題について、先進的に取り組んでいる自治体や団体に赴き、課題解決に向けたプロセスを学ぶ「フィールドワーク型ワークショップ研修」の実施など人材育成分野にも重点的に取り組んでまいります。
 以上、令和5年度一般会計予算案の主な事業についての説明とさせていただきます。
私は年頭に、1年間の目標につながるキーワードを決めており、今年は「先」という文字を選びました。ご存じのように「先」には、「最初」、「将来」などいくつかの意味がございます。時代はますます速いスピードで変化しておりますが、「将来」を見据え周到な準備と計画で、そして好機を捉えて「まず」は行動をおこす、そのような心がけを職員と共にし、不透明なこの時代においても、さらなる市政の発展に向け、各種施策の推進にまい進する所存でありますので、一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 それでは、本日提案いたしますのは、報告案件3件、新年度予算案件10件、条例案件11件、補正予算案件5件、その他案件9件の合計38案件です。
よろしくご審議のうえ、ご賛同賜りますようお願い申しあげ、開会にあたりましての挨拶とさせていただきます。

令和5年2月16日               甲賀市長 岩永 裕貴