令和6年第1回甲賀市議会定例会(3月) 施政方針要旨
皆様おはようございます。
立春も過ぎ、本市に春の訪れを告げる田村神社の厄除け大祭が明日から執り行われ、春の息吹を感じる季節となってまいりました、本日ここに、令和6年第1回甲賀市議会定例会が開催されるにあたり、提案いたします議案のご審議を願うに先立ち、議長のお許しをいただきましたので、施政方針の一端と、甲賀市一般会計予算案及び主要事業等の概要について述べさせていただきます。
まず、元日に発生いたしました能登半島地震によって亡くなられた方々とご遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被害に見舞われ、今なお厳しい生活を送っておられる被災者の方々に、心からお見舞いを申し上げます。地震発生後、本市も要請をうけ、甲賀消防および甲賀病院から被災地への人命救助にあたっていただいたほか、被災建築物の危険度判定、避難所における健康管理支援、応急給水への応援、下水管渠被害調査に市職員が出動をしております。引き続き、長期的な復旧・復興が必要になると想定されますので、今後も必要に応じて適切な支援に努めていきたいと考えております。また、今回の震災の中で改めて確認されている多くの課題について、しっかりと分析を行い、教訓を活かすことにより、本市の防災行政の強化につなげてまいります。
さて、令和6年度、国の一般会計予算案につきましては、総額にして112兆5,717億円となり、過去最大であった令和5年度当初予算を下回るものの、2年連続で110兆円を超えて過去2番目の規模となっております。予算案のポイントといたしましては、医療福祉分野の現場で働く方々の処遇改善をはじめとした「物価に負けない賃上げの実現」に向けた賃上げ促進の環境整備、児童手当の抜本的拡充などによる「こども未来戦略」に基づく「加速化プラン」の迅速な実施など、「変化の流れをつかみとる予算」として構造的な課題への対応を謳った予算となっております。
また、7日に発表されました滋賀県の一般会計当初予算案については、子ども関連や地域公共交通の維持活性化などに注力をし、子どもの医療費助成の高校生世代への拡充、国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会に向けた取組の推進やインフラ整備、2025年大阪・関西万博に向けた取組の推進、施設整備の進捗などにより新型コロナウイルス感染症対策を除いた予算規模としては過去最大の6,145億円を計上されたところであります。
国・県におきましても、現在が歴史的な変換点、重要な分岐点であるとの認識のもと将来を見据え、過去最大規模の予算編成となっております。
本市としましても令和6年度は、第2次甲賀市総合計画第2期基本計画の最終年度にあたり、目標人口、令和10年に8万7千人の達成に向け、一つの節目を迎える大切な1年であります。また、合併特例事業債の発行が終了する年度でもあり、本当の意味で、市として自立していくことが求められております。歴史的な変換点の中で、しっかりと将来を見据え、市民一人ひとりがいつもの暮らしに幸せを感じるまちの実現に向け、全力で市政運営に当たってまいります。
それでは、施政方針、一般会計予算案及び主要事業等の概要についてご説明申し上げます。
3年余りにおよぶコロナ禍により、社会経済活動の大きな制限を余儀なくされ、その中で社会は大きく変わり、人々の考え方や価値観などに大きな変化をもたらしました。そのような状況の中、世界情勢の緊迫化、物価高騰・円安の影響長期化、夏の酷暑などの異常気象、気候変動問題の深刻化は、社会のさらなる変化を促し、新型コロナウイルス感染症の5類移行による社会経済活動の本格的な再開とも相まって、依然、見通せない状況が続いております。
目まぐるしく変化する社会情勢の中において、時代の変化を見極め、孤独や孤立を起因とする多くの課題に加え、新たに求められるニーズや本市の「伸びしろ」を的確に捉え、これまで注力をしてまいりました3つのテーマ「子育て・教育」、「地域経済」、「福祉・介護」により一層の磨きをかけ、『オール甲賀で未来につなぐ!「新しい豊かさ」へのチャレンジ』として、脱炭素社会の実現に向けたGXの推進やデジタル技術を活用した市民サービスの向上、未来を担う子ども・若者への支援、健康寿命の延伸など、すべての事業において本市ならではのオンリーワンの成果を追い求め、アフターコロナにおける「選ばれるまちづくり」に向け、創意工夫と柔軟な発想のもと、国や県にはない現場を預かる市としての視点を見失うことなく、過度な公平性や一律一辺倒ではない実情に応じた制度、課題の本質を見極めた未来につながる施策を構築してまいります。
まず「子育て・教育」分野は、就任当初より最も注力している柱の一つであり、「子育て・教育NO.1」の実現に向け、子どもや子育て世代当事者の視点を大切にしながら、子育て世代の希望に応える、ライフステージに応じた切れ目ない支援を通じて、『安心して子育てできる環境づくりをさらに加速』させてまいります。そして、子どもの夢や権利が守られ、全ての子どもたちが生き生きと健やかに、無限の可能性に挑戦していけることを目指し、子どもの居場所づくりや学力向上、教育格差の是正など、地域や企業との連携強化も図りながら「オール甲賀」で子ども達の成長を支える環境づくりに取り組んでまいります。あわせて、義務教育を修了した若者の暮らし・夢を支援してまいります。
また、子どもから高齢者まで年齢に関係なく自分らしい自己実現がかなえられるよう学びを支援し、豊かな心づくりを支援します。
次に、「地域経済」分野では、豊かな自然、農林業や薬業・信楽焼といった地場産業、忍者、東海道などの地域資源、近畿圏と中部圏を結ぶ広域交通の要衝である地理的な優位性など本市の持つポテンシャルの高さを最大限有効に活用するとともに、企業の人材確保、雇用の安定を図り、2025年開催の大阪・関西万博をチャンスとして、農林業をはじめ、観光や商工業の振興により、地域の稼ぐ力を高め、ローカル経済の循環に重点的に取り組むことで、将来にわたり安定的な税収を確保してまいります。また、空き家対策の積極的な取組、駅前周辺整備、土地区画整理事業の推進、公共交通のベストミックスによる利便性向上など各種施策を効果的に掛け合わせ、市外の潜在市民を開拓し、選ばれるまちづくりに引き続き取り組んでまいります。
そして、環境未来都市「こうか」の実現に向けて、豊かな自然を守り、環境と経済、社会活動が調和した持続可能なまちを、未来の子どもたちに引き継ぐため、再生エネルギーの利用促進、市民の行動変容への働きかけ、ネイチャーポジティブへの取組みなど、本市ならではの脱炭素社会に向けたGXを推進してまいります。
次に「福祉・介護」分野においては、誰もが住み慣れた地域のなかで、「人がつながり、地域がつながり、そして社会がつながり」、いつもの暮らしに幸せを感じるまちの実現に向け、「誰一人取り残さない」という理念の基に、自分らしさの表現と多様性を尊重し、相談者の属性、世代、相談内容に関わらず幅広く受け止める包括的な相談支援体制、支援が必要であるにも関わらず届いていない人へのアウトリーチによる積極的な働きかけ、制度や組織の隙間を埋めるきめ細やかな施策、また市民との協働による地域づくりを一体的におこなう重層的支援、そして、社会や暮らしの変化に合わせた地縁・血縁・社縁につづく新たな「第4の縁」の創造に取り組みます。
次に、本市の一般会計予算案の概要についてであります。
令和6年度一般会計予算案については、「いつもの暮らしに「しあわせ」を感じるまちの実現に向けた「新しい豊かさ」の創造を推進する予算」として、環境未来都市「こうか」の創造に向けたGXの推進、本市の未来を担うこども・若者への支援、市制施行20周年記念事業への取組み、2025関西・大阪万博を契機とした産業振興、道の駅あいの土山や国スポ・障スポの開催にむけた施設整備、国の定額減税補足給付金支給事業等に関する予算を計上した結果、一般会計の予算規模は456億2千万円で、対前年度比では17億2千万円の増、比率にいたしまして3.9%の増となり、過去最大の予算規模となっておりますが、財政指標の過度な悪化を招かないよう財政規律を守りながら予算編成に取り組みました。
次に、主な事業につきまして、その概要を申し上げます。
まず、「子育て・教育」では、こどもが健やかに育つための環境づくりを推進するため、新たに保育園等へのおむつ無償提供や官民連携による子育て支援に取り組むとともに、これまで小中学生に対し行ってまいりました医療費無償化を高校生世代まで拡大いたします。また、不登校対策として市内全ての小学校に新たにスペシャルサポートルーム(SSR)を設置するとともに、スクーリングケアサポーターを配置し、教室に入りにくい児童の支援に取り組むほか、社会的自立を促す支援を行う「教育支援センター事業」やフリースクールの利用経費助成を行います。
主な施設整備では、小学校の特別教室の空調設備整備に着手するとともに、地域のシンボルである水口城跡の景観保全を図るための「水口城跡御成橋」の改修を行います。また、国スポ・障スポ大会にむけ、スポーツの森の陸上競技場、市民スタジアム、多目的グラウンド、管理棟等の修繕・再整備を行います。
次に、「地域経済」では、2025大阪・関西万博を契機とした地場産品のさらなる認知度向上、販路拡大に向け、ブランド発信支援事業や地場産業次世代人材創出事業等に取り組むとともに、碾茶の需要の高まりに対応した、高品質な茶の生産体制の強化を図るため、農事組合法人が実施する碾茶工場の増築費用の一部を補助します。また、令和6年4月から上下分離方式に移行する近江鉄道の施設管理団体への支援を行います。
そして、「環境未来都市」の創造を具体化するため、本年度策定いたします「甲賀市地球温暖化対策実行計画」に基づき、市民の行動変容を促す取組みや事業者・行政の省エネ・再エネ導入等の取組みを促進します。
主な施設整備では、地域振興の重要な拠点として道の駅あいの土山を再整備するとともに運営組織の強化に取り組みます。
次に、「福祉・介護」では、産後うつや新生児への虐待予防等を図る観点から、出産間もない時期の産婦に対する健康診査の費用を助成するとともに、難聴高齢者の閉じこもりや認知症を予防するため、補聴器の購入費用の一部を助成いたします。また、複合化・複雑化した支援ニーズに対応するため、重層的支援体制整備事業に取り組むとともに、地域の保健医療の向上及び包括的支援の充実を図るため、地域包括支援センターの運営を民間に委託いたします。「看護師確保対策」では、家賃補助や復職者支援、啓発事業など多角的な支援を実施し、「多文化共生推進事業」では、外国人市民の暮らしを支える機能を持った多文化共生センターを設置いたします。
以上、令和6年度一般会計予算案の主な事業についての説明とさせていただきます。
昨今、これまで長年引き継がれてきた「常識」、また「当たり前」が通用しない事例を数多く見かけるようになりました。これまでの価値観を当然のものとして何の疑いもなく継承し、受け入れてきた結果、時代の変化、とりわけ情報化社会の急速な進展の中、社会が大きく変化していることに対応できず、また、生じている綻(ほころ)びに気づきながらも対処せず放置をしてきた、そのような過去からの積み重ねが、現在、日本社会の様々な分野で大きな歪みや課題として我々の生活に影響を与えていると感じております。
自分たちが当然と思っていることをもう一度なぜそうなっているのか、理由もなく守り続けていないか、それが時代性に合っているのか、しっかり根拠を持って考え直してみることが強く求められる時代に入っています。そして、変える必要があると感じることは躊躇なく変えていく。それが、国や県のルールであれば必要な変更を要望として伝えていく。市で変えられることであれば、しっかりと行動に移し変えていく。これからの時代を生きる子どもや若者が夢や希望を持てる「まちづくり」が出来ているのか、私自身も自問自答をしながら、責任を持って甲賀市の明るい未来を切り開けるよう精一杯頑張ってまいります。
私は年頭に、1年間の目標につながるキーワードを決めており、今年は「飛」という漢字を選びました。今年は辰年ということで、竜のように飛躍するという意味も用いておりますが、これまでの枠組みを、新しい発想力で「飛」超え、市制施行20周年を感謝とともに本市の大きな飛躍につなげて行きたいと思っております。そのような心がけを職員と共にし、さらなる市政の発展に向け、各種施策の推進にまい進をしてまいりますので、一層のご支援またご協力を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、本日提案いたしますのは、報告案件3件、新年度予算案件9件、条例案件19件、補正予算案件3件、その他案件5件の合計39案件です。
よろしくご審議のうえ、ご賛同賜りますようお願い申しあげ、開会にあたりましての挨拶といたします。
令和6年2月16日
甲賀市長 岩永裕貴