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令和8年第2回甲賀市議会定例会(3月) 施政方針

 皆様おはようございます。
 大変寒い日が続いておりますが、暦の上では立春を過ぎ、少しずつ春の訪れを感じる季節となってまいりました。本日ここに、令和8年第2回甲賀市議会定例会が開催されるにあたり、提案いたします議案のご審議を願うに先立ち、議長のお許しをいただきましたので、施政方針について述べさせていただきます。

 さて、我が国を取り巻く社会経済情勢は、人口減少・少子高齢化の進行に加え、物価や人件費の高騰、社会構造の変化、頻発、激甚化する自然災害など、先行きが不透明な状況が続いております。こうしたなか、去る2月8日には衆議院議員総選挙が執行され、その結果、高市政権が支持を大きく伸ばし、今後は、自民・維新連立体制で選挙公約の実現に向け、大きく動き出していくこととなりました。責任ある積極財政をもとに、大胆な投資により、力強い経済成長につなげることを目的とし、特に地方については、「地方が日本経済のエンジンに」という理念を掲げ、(1)新たな産業基盤の形成や、観光を通じて稼げる地域経済づくりなど、より経済に重きを置いた地域未来戦略の推進、(2)中小企業や小規模事業者への設備投資や人材確保支援、生産性向上支援などによる地方での稼ぐ力の強化、(3)農林水産業の構造転換や生産性強化による食料安全保障や輸出促進、森林資源や水産業の活用・強靭化、この3つの柱のもと、地域を支える人の力により、活力ある地方にしていくとされています。これらの取り組みについては、大変期待をしているところであり、本市もこの流れをしっかりと活用していきたいと考えております。
 私たち市役所においては、こうした国のダイナミックな変革期の動きを捉えつつ、地域の実情に応じた迅速かつ的確な実行力が求められており、市民に最も近い、基礎的自治体としての役割と責任を果たすべく、自らを変革し、成長し続ける姿勢が不可欠であります。これまでの延長線上にある市政運営だけでは、市民の暮らし、将来に責任を持つことは決してできません。だからこそ、現実から目を背けることなく、これまでのやり方に工夫を加え、選択と集中をはっきり区別し、行動すべき時には気概をもって踏みだしていかなければなりません。そのためにも市民皆様のご理解とご協力をいただきながら、何より現場の声を大切にした市政運営に取り組み、新たな課題にも果敢に挑戦してまいります。

 さて、令和8年度、国の一般会計予算につきましては、衆議院議員総選挙の執行により、予算の成立時期、また政権運営や国会運営、制度設計の先行きが見通しにくい状況となっています。今後、国の施策や財政措置に変化が生じる可能性も十分視野に入れておく必要があります。
また、2月9日に発表されました滋賀県の一般会計当初予算案については、「ともにいきる『健康しが』」をめざし、基本構想実施計画に掲げた政策の着実な推進に向け、6つの柱、(1)子ども・子ども・子ども、(2)ひとづくり、(3)暮らしと健康づくり、(4)安全・安心な社会づくり、(5)産業・経済の基盤づくり、(6)豊かな自然を育む環境づくりを中心に施策を構築し、県北部地域の振興に集中的に取り組むなど、予算規模としては過去最大の6,823億円を計上されたところであります。
 今後も国・県の動向を注視するとともに、本市としましても新たな特定財源の確保などに取り組み、国・県とともに各種施策を進め、市政運営が更に飛躍できるよう努めてまいります。
 それでは、施政方針についてご説明を申し上げます。
 第2次甲賀市総合計画第3期基本計画の2年目となる令和8年度は、新しい豊かさの追求を深め、「甲賀市らしさ」をバックボーンに便利で質の高い暮らしにより生み出された「余白」を叶えたいライフスタイルで埋めていく、いわゆる「甲賀スタイル」の実現に向け、さらなる取り組みを進めていく、そして、本市の次の20年をつくる持続可能な自治体経営を図るための基盤を確かなものとする年と位置づけています。
 人口減少対策の重点目標である、若者や子育て世代を中心とした本市の将来を担う世代から「選ばれるまち」の実現に向け、これまで取り組んでまいりました3つのテーマ「子育て・教育」「地域経済」「福祉・介護」に、4つの視点「地域共生社会の実現」「公共施設の合理化」「未来への投資」「市役所力の強化」を加え、5つの重点プロジェクト「若者・子育て応援プロジェクト」「こどもの可能性無限大プロジェクト」「選ばれるエリア形成プロジェクト」「企業連携・支援プロジェクト」「安全・安心のまちづくりプロジェクト」により、本市の強みをさらに伸ばし、課題解決に全力で取り組んでまいります。

 それでは、これらを具体化するための予算のポイントを述べさせていただきます。
 昨年度の市制施行20周年に続き、今年度は大阪・関西万博や国スポ・障スポといった大規模なイベントを無事終えることができ、また材料費や人件費が著しく高騰する一足先に、合併特例事業債を有効に活用しながら、必要な公共施設の整備を一定進めてくることができました。これまでから計画的な財政運営に努めてまいりましたが、全国的に自治体を取り巻く財政状況は大変厳しさを増しております。
 今後、大規模災害等の不測の事態や景気変動に柔軟に対応していくため、市の財政的な貯えである基金の残高を数年かけて中長期財政計画に定める80億円まで積み増しができるよう、部局横断的な予算編成、事業の再構築に取り組み、令和8年度の一般会計の当初予算総額を、対前年度比3.7パーセント減の445億円といたしました。
 将来を見据えたなかで、前例踏襲だけではなく、時代の変化に対応し、より足腰の強い自治体を作るという思いで予算編成に臨ませていただきました。常に市民ファーストの目線で真に必要とされる市民サービスへの重点化を図り、最小のコストで最大の効果が得られるよう、創意工夫と柔軟な発想の下、「オール甲賀」で未来に確かなバトンをつなぐため、気を抜くことなく健全で規律ある財政運営に努めてまいります。

 さて、本市の「次の20年をつくる」持続可能な自治体経営を図るため、特に進めなければならない4つの視点について述べさせていただきます。
 まず、「地域共生社会の実現」では、地域住民の複合・複雑化した支援ニーズに対応し包括的な支援体制を推進する、「重層的支援体制整備事業」をはじめ、地域、行政の共通の課題解決を図るための自治振興会制度の見直しなど、住民自治を促進していくほか、福祉施策とコミュニティ施策の連携により、地域で支えあう仕組みづくり、自発的な地域の取り組みを支援してまいります。また、変化を受け入れ、トライ&エラーを糧とし、繰り返し、互いを認め、長期的な視点からプロセスを評価する、「いつのまにやら地域づくり」の取り組みをさらに広げてまいります。一人の困りごとをみんなで考え、それを地域課題として捉え、地域づくりにつなげてまいります。さらには、近年、本市においても深刻な問題となっている、単身高齢者などが頼れる人がいないことから生じる「身寄り問題」について、「身寄り問題ガイドライン」を活用した多機関協働による権利擁護支援体制を構築いたします。多様な主体に働きかけ、心を動かし、共助の力を引き出しながら、誰一人取り残さない地域共生社会の実現をめざしてまいります。

「公共施設の合理化」では、甲賀市公共施設等総合管理計画第1期行動計画の終了時期であります令和10年度末の縮減目標を見据えて、引き続き、信楽小学校の校舎改築とあわせ、信楽児童クラブの機能の集約化にも取り組んでまいります。また、10年後、20年後の市の姿を考え、大きな負担を次世代に先送りすることがないよう、計画との整合を図りながら、小・中学校の再編及び子育て支援施設の整備、社会教育施設の合理化など、本市の公共施設を取り巻く課題の解決に向けて取り組みを進めてまいります。

「未来への投資」では、将来の甲賀市が発展するため、重要なプロジェクトへの投資を戦略的、積極的に進めてまいります。地域が発展するための重要なプロジェクトへの投資として貴生川駅周辺整備事業、名神名阪連絡道路の早期実現に向けた要望活動、定住人口及び駅利用者の増加を促進するため、土地区画整理事業によるJR草津線沿線の住宅地整備に取り組むほか、甲賀土山IC周辺工業団地整備事業では、国が推進する「産業クラスター施策」の動向も注視し、アクセスメリットを活かした産業集積による企業誘致に取り組んでまいります。

「市役所力の強化」では、多様化・複合化する市民ニーズや行政課題に適切に対応するため、縦割りの打破によるチームワークの強化を図るべく、効率的かつ効果的な組織体制への見直しをこれまで検討してまいりました。主な内容としましては、市政運営に係る迅速かつ効率的な意思決定と戦略的なシティプロモーションを推進するため、市長公室を新たに設置するほか、人口増加の起点となるエリア形成を推進するため、都市政策部を新たに設置するとともに、出生や転入など、戸籍や住民異動に関する手続きを1階フロアで完結できるよう配置を見直すこととしました。また、事務事業の効率化をめざし、各所属にDX推進リーダーを配置し、さらなる業務改善に努めるとともに、職員研修事業については、階層別研修の項目を絞り、新たに職員から要望の多かった事務に直結する実務研修を実施し、組織全体の業務効率化につなげてまいります。
 また、これまで市役所に来庁しなくても手続きいただけるよう、オンライン申請やコンビニ交付等の充実に取り組んできた結果、現在多くの手続きが時間や場所を問わず利用可能となりました。こうした環境が整ったことも踏まえ、限られた時間のなかでより質の高い窓口対応を行っていくため、本年5月15日から庁舎等の開庁時間を変更いたします。働き方改革の推進として、適切かつ円滑な窓口業務、組織の生産性を確保し、市民サービスの質の向上を図ってまいります。

 次に、5つの重点プロジェクトについてであります。この5つのプロジェクトでは、第2次甲賀市総合計画第3期基本計画において掲げる3つのテーマに基づいたまちづくりを加速させるため、守るために攻める姿勢で、分野横断で取り組み、未来を担うこども、若者、子育て世代を市一丸となりオール甲賀で応援し、人口減少対策に取り組んでまいります。

 まず、「若者・子育て応援プロジェクト」では、妊娠期から子育て期   までの切れ目のない支援や、子育てをしながら働くことや起業ができる 環境整備を推進し、出生率の増加につなげるため、小中学生及び高校生世代の医療費を無償化、おむつ等を持って見守り訪問する「こうかおむつ便」などを継続実施するとともに、子育ての不安や悩みに対する相談体制など、子どもや保護者に寄り添った支援を行ってまいります。また、保育士の確保や体制強化、病児・病後児保育により保護者の皆様方が安心して子どもを預けていただける保育環境を提供いたします。
 また、若者の結婚・就業・起業などを応援するとともに、生産人口の定住促進、市外流出の抑制、Uターンの増加につなげるため、地域プロジェクトマネージャーによる戦略的な情報発信や空き家を活用した移住定住促進などに取り組んでまいります。

「こどもの可能性無限大プロジェクト」では、確かな学力を育む教育環境を充実させるため、児童生徒の学びの意欲、やる気の高揚、基礎基本の定着をめざし、「確かな学力向上事業」として小中学校への支援員の配置、外国語を母語とする児童生徒に対し集中的に日本語初期指導を行い、円滑に学校生活がスタートできる支援などに取り組んでまいります。なお、3年目となる、教室に入りにくい児童を教室復帰につなげる「スペシャルサポートルーム」に加え、引き続き、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを配置し、不安や悩みを抱える子どもたちに寄り添い、学習や生活、人間関係等を支援するとともに、不登校やいじめの未然防止に努めてまいります。
 教育DXの実現に向けては、タブレットや電子黒板、ICT機器などを有効活用し、情報活用能力の向上を図ってまいります。国とも連携を図りながら小学校での給食費の無償化を実施し、引き続き、旬の甲賀市産食材を使用するなど学校給食を通じた食育の推進、自然共生サイトとしてふさわしい、みなくち子どもの森を活用した環境教育・普及活動など本市の特性を活かした学習の取り組みを進めてまいります。
 また、こどもたちの豊かな人間性を育み、将来の可能性を広げていくため、地域と連携・協働して子どもを取り巻く課題を解決できる地域社会の確立、多くのスポーツに親しむ機会の創出、図書館サービスの整備など、多様な学びを推進するとともに、生活困窮世帯等の児童生徒に対するこどもの居場所づくりなど、きめ細やかな支援、施策をしっかり展開してまいります。

「選ばれるエリア形成プロジェクト」では、暮らしの利便性と質の向上に向けて「住みたい・住み続けたい」と思っていただけるよう、貴生川駅周辺整備事業として公民連携による駅周辺の公共施設の再整備等や、虫生野東部での土地区画整理事業による住宅地造成、また、空き家、空き地の増加による市街地の空洞化や地域のアイデンティティの喪失などが課題となっている水口地域における旧東海道のくらしやにぎわいの創出に向けて、人口減少対策の核となるエリア形成を進めてまいります。
 また、暮らしを支える交通ネットワークの実現に向け、最重要事項であるJR草津線等の利用促進と利便性の向上を図るため、沿線自治体、関係団体や交通各社との連携による公共交通の利用促進に努めてまいります。

「企業連携・支援プロジェクト」では企業や事業所などの人材確保を 支援するとともに、従業員の生活支援、市内への転入・定住を促進するため、隣接市との合同就職面接会・企業説明会の開催、市内企業・事業所の就職者に対する奨学金返還への支援、市内勤務地に長距離通勤する方への補助、こどもたちに魅力ある地域企業を知ってもらう地域一体型オープンファクトリーの実施、働き方改革、職場の環境整備、女性活躍の推進など市内企業等への主体的な取り組みを支援してまいります。
 また、製造品等出荷額が県内1位である強みを維持するため「企業立地魅力アップ事業」として、継続して工業団地内の環境整備をきめ細やかに行うなど、市内企業と信頼関係を保ちながら定着促進につなげてまいります。

「安全・安心のまちづくりプロジェクト」では、安全で快適な定住環境が整ったまちづくりを進めていくため、道路の維持補修や施設の保守点検、除草作業、橋梁等の維持管理のほか、通学路や未就学児の移動経路の点検及び交通安全施設の整備に取り組んでまいります。
 また、災害に強い安全・安心な地域をめざす「災害対策事業」では「逃げ遅れゼロ作戦」を継続実施、地域産業を支える外国人市民の「いつもの暮らし」を支えるため、学習や困りごと相談の支援強化などに取り組むほか、必要な行政サービスを受けていただけるようDX推進や、行政改革推進事業として、施設の管理、更新等について、民間活力の導入や公民連携を促進するための窓口を設置いたします。
 次に、本年度設置しました「わかもの会議」でのご意見を参考に取り組む事業について申し上げます。若者定住促進事業では、結婚につながる出会いの支援を、商工業者人材確保支援事業及び工業会運営事業では、若手従業員による職場の“推し”を伝える「KOKA(コウカ) LOOK(ルック) BOOK(ブック)」の継続・拡充を、公共交通利用推進事業では、観光客を誘致する上で重要なポイントとなる二次交通網充実に向けたニーズ調査の実施を、また次年度に実施予定の滋賀県知事選挙にあたっては、大型商業施設での期日前投票所、移動期日前投票所の開設などを実施してまいります。

 その他の主な事業としましては、こども・子育て支援において、すべてのこどもの権利が守られ、幸せな生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現をめざし、「甲賀市こども基本条例」の制定や、「甲賀市こども計画」を策定するほか、こども誰でも通園制度を本格実施いたします。また、利便性向上のため甲賀流リアル忍者館におけるバス乗降所整備、令和9年度に甲賀市で開催される「全国棚田サミット」への準備や、大型観光キャンペーンである「滋賀ディスティネーションキャンペーン」の開催に向けて、広域的かつ効果的な観光誘客をめざした取り組みを進めてまいります。さらに令和11年度からの計画となる、第3次甲賀市総合計画基本構想の策定にも着手してまいります。

 私は1年間の目標につながるキーワードを決めており、今年は「定める」という漢字を選ばせていただきました。安定した財政運営を図るため、令和8年度予算において、基金残高を確保しつつ、これまで以上に選択と集中を明確にした、20年後の未来を定める予算になると確信しております。また定着の「定(てい)」という読み方をすれば、昨年経験をした大阪・関西万博、国スポ・障スポのレガシーをまちづくりに定着させていく、将来を見据え各種事業を定め、定着させる、このことが非常に大切だと感じ、「定める」という漢字を今年の指針として選んだところであります。
 本市の大きな課題である人口減少、少子高齢化、物価高騰対策など山積するなかではありますが、未来に責任の持てる市政運営の礎を築くために多くの選択や判断が求められるなかで、着実に前進してまいります。
 来年度は、「若者・子育て世代に選ばれるまち」をめざし、市の独自性、また競争優位性を明確にしながら、強みを伸ばす行政運営が推進できるよう、新たな組織機構体制でスタートすることとなります。市民の暮らしを最優先に考え、さらなる市政への発展に向け、各種施策の推進にまい進してまいりますので、一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、本日提案いたしますのは、新年度予算案件9件、人事案件1件、条例制定案件1件、条例改正案件7件、補正予算案件5件、その他案件2件の合計25案件です。
 よろしくご審議のうえ、ご賛同賜りますようお願い申し上げ、開会に あたりましてのご挨拶といたします。


令和8年2月12日          
     甲賀市長 岩永裕貴