平成17年7月 甲賀市総合計画策定審議会
1.総合計画策定の趣旨
総合計画は、地方自治法の規定に基づき効果的かつ効率的な行政運営を図るため、その総合的な指針としての役割を果たすものであり、いわば「甲賀市」という大きな船の今後の行き先や進み方を指し示す「羅針盤」となるものです。総合計画は、施策の基礎(各種の具体的な計画の基礎)となる役割を果たすものであり、各行政部門で進める各種施策は、この総合計画の目標・方向性に基づき行われることとなります。
これまで、市町村合併の検討・協議を進め、新市建設計画の策定を図りましたが、今後はより総合的かつ具体的な指針を定め、市民生活の豊かさやまちの活性化に向けて着実に実行していくことが必要です。
そのためには、甲賀市の今後の「羅針盤」となるべき「総合計画」は、「市民・行政の協働作業の方向性」を指し示し、「共感・共有できる共通の目標」であるとともに「効果的・効率的な施策実施の方向性」を盛り込んだ、実効性ある指針となるべきと考えます。
この「羅針盤」を適切なものにできるかどうかが今後10年間の新生「甲賀市」の姿に大きな影響を及ぼすものと考えられ、そうした重要な計画であることを認識しつつ、その骨格となる基本構想、基本計画の検討・策定をめざすものです。
総合計画の構成と目標期間
- 基本構想
- 「将来のまちづくりのあり方」や「まちの姿」といった「共有すべき目標(基本理念や将来都市像)」を示すものであり、基本構想の期間は、平成19年度(2007年)を初年度とし、平成28年度(2016年)を目標年度とする10年間とします。
- 基本計画
- 基本構想を実現するための基本的な「施策の体系」と「各施策の方向」を示すものであり、基本計画の期間は、基本構想と同様に平成28年度(2016年)を目標年度とする10年間とします。
2.総合計画のめざす方向性
市民ニーズに即した計画
計画づくりに際しては、まちの主役である市民のニーズを的確に捉え、目標や施策への反映が図れるよう留意します。
市民との協働指針としての計画内容の充実とわかりやすい計画
厳しい行財政下において効率的・効果的にまちの活性化や市民生活の豊かさを実現していくためには、行政だけでなく、市民(企業も含む)も責任と役割を果たしながらともに目標や計画を作り、その方向に即して協力して行動していく「協働」の姿勢が重要です。したがって、計画策定に際しては、市民の視点に立ったわかりやすい計画内容としていくとともに市民参加活動の活発化を図る施策の充実をめざします。
甲賀らしさを活かし伸ばす計画
今後のまちづくりにおいては、「オンリーワン」をめざす姿勢が重要と考えます。本市には豊かで多彩な自然・歴史文化・伝統産業・地域資源等があるとともに、古くより先進的な自治組織を有していたことから、そうした地域の特性(個性)を未来に活かし伸ばしていく施策の充実や甲賀らしい市民参加の進め方の検討を図るとともに、広域的な役割や個性の一層の強化とPR促進をめざします。
行政経営の視点を重視した戦略的な計画
厳しい財政状況の中にあって効率的・効果的な市政運営を図る観点からは、総花的な施策展開を重視するのでなく、甲賀市としての重点課題や特性(個性や可能性)を見定め、経営的感覚をもって戦略的・重点的に実施する施策を構築した計画とします。また、実施効果(成果)を重視した計画とします。
実効性ある計画
効率的・効果的な計画づくりと施策の実行を推進していくためには、縦割り的な行政施策の弊害を改め、計画に即した総合的な施策の推進が図れるよう横断的な庁内の連携に基づく施策の充実や、効果的な実施に向けての知恵を結集していくことが重要であり、特に分野を超えた総合的な施策の実施に留意した計画とします。また、具体的かつ段階的な目標設定や、施策を評価・管理する仕組みづくり、市民との情報共有など新たな取り組みにも留意した計画とします。
ソフト施策の充実や既存ストックの有効活用による効率的な施策の推進に向けた計画
計画づくりに際しては、箱物整備や大規模な公共施設整備等のハード施策に偏重せず、既存公共施設・地域資源等の既存ストックの有効活用やソフト施策の充実に十分に留意した計画とします。
地域のバランスある発展に留意した計画
合併により誕生した市として円滑な発展をめざしていくためには、均衡のある発展が重要な視点であり、このことに十分留意した計画とします。
3.総合計画策定に向けての方向性
総合計画策定の基本姿勢
総合計画は、市民・行政が協働して、市民生活の豊かさとまちの活性化をめざしていく共有する将来の「羅針盤」です。計画の策定に際しては、行政が一方的に計画を作っていく従来型の「行政主導型」でなく、市民・行政が協力して計画づくりを行い、ともに実行していく「協働型」の計画づくりをめざします。
総合計画策定に関する方向性
- 審議会を中心とする市民主体の手づくりの計画策定
- 市民が主体的に計画策定に係わり、わかりやすく共感しやすい計画づくりと市民が望む施策の実現を図るため、審議会がその中心的な役割を担うものとして、積極的かつ建設的な議論を重ね基本構想・基本計画の検討・策定をめざします。
- 具体的施策に活かす効果的な市民意向調査の実施
- 合併検討時の既往アンケート調査結果も活かしつつも、特に具体的な施策検討など計画策定に有効に役立つ市民アンケート調査を新たに実施し、新市における市民ニーズを的確に踏まえた計画づくりを進めます。
- きめ細かな市民対話に基づく計画づくり
- 審議会における活発な議論とともに、より幅広い市民を対象に地域資源を活かした施策要望やアイデアなど、具体的な意見・要望を踏まえた計画づくりを進めるためそうした場として「(仮称)市民みらい会議」の新たな開催をめざします。
- 情報公開と市民対話の促進による、幅広い市民参画に基づく協働の計画づくり
- 計画策定の各段階の状況を市の広報紙やホームページを通じて、情報公開の促進と日常的な市民意見の受信に努めるとともに、構想・計画策定の重要な局面において、総合計画素案の情報提供と市民意見の収集・反映を図り、市民の幅広い関心と参画に基づく協働の計画づくりを進めます。
- 積極的な行政職員参加に基づく、実効性ある協働の計画づくり
- 実効性ある計画としていくためには、上記の「多様な市民対話に基づく計画づくり」のみならず、行政職員(特に次世代を担う若い層)の積極的な計画策定への参画を図り「市民の視点に立った計画・施策の検討」や「実効性ある施策の吟味」「有効な施策アイデアの反映」等を強力に推進し、「自ら主体的に計画づくりに関わっていく」ことが重要であり、そうした点に十分留意した協働の計画づくりと体制の充実を要請いたします。
4.新市建設計画の位置づけ
新市建設計画は、合併協議会による協議と合意のもとに策定され「合併による新市建設の指針」としての役割を果たすものであり、その内容を十分に尊重しつつ、新市のもとにより具体的かつ発展的に市政を推進するための総合的な計画として策定を進めていくものとします。計画策定に際しては、特に以下の点に十分留意するものとします。
新市の基本方向に関する整合性の確保
新市の将来像など新市の基本方向に関する計画内容については、基本構想の検討に際してその整合性に留意します。
新市の主要事業(特例債適用事業)に関する整合性の確保
新市の主要事業、特に特例債適用事業については、基本計画の検討に際して、その整合性に留意しつつも新市としての市民ニーズを踏まえた具体性や実効性に関する精査を行い、総合計画の内容に反映していくものとします。
その他、合併検討時の期待や懸念事項等に留意した計画の検討
新市の実現に至る貴重な議論の積み重ねを十分に生かした計画づくりを進めるため、合併協議会において実施したアンケート調査結果等も踏まえながら、合併検討時の期待や懸念事項等に十分留意した計画の検討を進めるものとします。