信楽町多羅尾には江戸時代を通じて、信楽代官をつとめた多羅尾氏の居宅兼陣屋であった多羅尾代官陣屋跡があります。
多羅尾氏は中世に京都の名門貴族である近衛家の信楽荘の現地代官として活躍し、次第に在地領主としての力を蓄えていきました。
16世紀後半頃には、畿内へ進出した織田家と松永久秀の取次を務めるなど存在感を示し、天正10年(1582)6月におきた本能寺の変に際しては、三河へ帰還する徳川家康に助力し、その功績から慶長5年(1600)に多羅尾光太(みつもと)が初代代官に任じられると、以後明治に至るまで世襲代官として10代にわたって多羅尾に陣屋を構え、近江・河内・伊勢・大和国の幕府直轄領を治めました。
現在、代官陣屋の建物はありませんが、石垣や庭園など往時の姿をしのび見ることができます。公開期間は春季(4月~5月)と秋季(10月~11月)です。
ガイドブック『天空の郷 多羅尾ガイドブック~多羅尾氏と代官陣屋跡~』